なぜ『キングダム』なのだろう?
『キングダム』という超人気漫画があります。
中国大陸の春秋戦国時代を舞台に中国統一を目指す「政」と、低い身分から下克上して大将軍をめざす「信」が主人公です。
「政」は初めて中国大陸を統一する秦の始皇帝がモデルと言われています。
漫画の面白さはさておき、その歴史的背景をみるとなぜ『キングダム』というタイトルなのかな、と、言うのが不思議でいまだにわかりません。
キングダム(Kingdom)は英語で「王国」という意味。
でも、それだと始皇帝が歴史的にやったことと少しずれてきます。
中国では「皇」と「王」には明確な違いがあります。
春秋戦国時代はいくつもの王国があり、それを中国大陸で初めてまとめたのが始皇帝でした。
つまりいくつもある「王」の上に立つのが「皇」なのです。
魏志倭人伝の時代には、卑弥呼が魏から「王」として認められた、と、言う記述がありますが、それから数百年後の時代、天武天皇の頃から国のトップの称号が「大王(おおきみ)」から「天皇(すめらみこと)」に変わっていきます。
中華目線で言えば、下っ端だと思って「王」の称号を与えてやっていたはずの日本(倭)が、いつの間にか「皇」の字を使うようになったというわけですね。
ちょっと歴史語りばかりしてしまいましたが、ファンタジー世界でも様々な国を描写する時、それぞれの国の関係や立ち位置において、そこのところ基本的に抑えます。
王国とは基本的に自然発生した単一民族的な国で、帝国とは多様な文化や歴史的背景を持った国々を人工的に束ねた国で、基本的には帝国が格上。
「王子」と「皇子」は読み方は同じでも大きく意味は違います。
そこら辺の国際事情の勘違いも描いたのがこちらのお話です。
『ヴァカロ王太子のおもてなし ~目には目を、婚約破棄には婚約破棄を~』
https://kakuyomu.jp/works/16817330664166128287
読んでいただければうれしいです。
それにしても本当に『キングダム』というタイトルにはどんな意味が含まれているのでしょうね?
あれほどの人気作を描く実力者が「王」と「皇」の違いを判らないとは思えないですからね。
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