普通さぁ?
「ぁぁああっ!!ごめんなっ!!わてそんなお前のこときづつけようとした訳やないんよ!!ただ寂しかっただけなのー!!」
こうなってしまえばどうしようもない。
私はぶんぶん聞こえる後ろの音を出来るだけ無視してどうにか逃げようとダッシュする。
こーのごつごつ道。一度歩いた私ならともかくお前はそこそこ引っかかるだろうへっへっへ
ヾ(•ω•ヾ)マテマテ~
全然ダメそうだなこれ…っ!
そりゃあそうだよね現地人だもんね!!くっそ余裕そうだ!!
来た道を戻るとは何と虚しいことや…鍵閉めたっけとか、折角やった宿題のデータを消しちゃったりとか…やり直しってのは大変なもんだ
適当な事考えてたらいつしかぼんやりとした明かりが見えてくる。どうやらマグもどの所まで戻ってきたようだ
直ぐに朱い流体が顔を出す。
いくらなんでもこれ以上手がかりもなしに戻っていくのはリスクも大きい。
立ち止まっていれば追っかけてきた仮称エネミーの顔もやっと見えた。
一瞬見えた頭蓋骨の下には貴族が纏ってそうでやたら高そうな外套と、散りばめられた装飾、そして両手に握られているのは…何あのやったらごてごてした剣。柄には色とりどりの宝石が輝き、刀身は仄かに光を帯びている。
あれ友人Sから聞いた事ある!!聖剣的な的な物だ!!
そんなもので斬られたら邪悪じゃなくても普通に死ぬ事くらい良くわかる。
つまり…そうだね、絶体絶命って奴だね、都市でもないただの洞窟で。
そのごてごてスケルトンは、ジリジリと此方へと距離を詰めてくる。私の踵は既にマグもどに触れていた。
その時も長くは続かず、直ぐに終わりが来た。
ごてごてスケルトンは聖剣を上段に構え、私へと振りかぶる
「クッソ…一か八か…ッ!!」
私は振りかぶったごてスケの重心を前に倒すべく、姿勢を低くして腓骨と脛骨の合間くらいに目掛けてスライディングをかました。
すると見たことか、振りかぶった勢いのままごてごてスケルトンはマグもどへと真っ逆さまだ。
例によって例の如く、骨は爆ぜ、ついでに服も爆ぜ、詰まってた中身と剣も爆…ぜ、てない?あれ?なんならあの聖剣眩しくなってない?あ、閃いた。持ち運べる光源じゃんこれ拾っとこ
ざふざふマグもどの中に入って、聖剣らしきものと、ついでにあったスケルトンの内容物も拾って陸に上がった。
にしても眩しいなこれ。明るさ的には余裕で松明とか懐中電灯とかそこら辺くらい。これ戦闘時に振り回したらいい感じに目潰し出来そうだね。
そして謎の内容物。皮の…何これ、取り敢えず展開。
…バッグ?かな、肩掛けカバン的な。なんか入ってるかな。
がさごそ
十字ラベルの変な赤い薬品2本、投げナイフ的な物5本。ロープ。謎模様の丸い石。えとせとらえとせとら…
…どんだけ出てくるんだこのカバン。種も仕掛けも無いガチモンのマジックだぞこれ。
あー…友人Sが言ってたあれか、マジックアイテムのバッグだとか次元かばんだとかそこら辺の。
これはー…便利じゃな?
試しにクソデカ聖剣をぶち込んでみてもまだまだ入りそうだった。収集癖のある私にはピッタリの代物だ。
収穫品は中々のものだった。聖剣も鞄も何方もこれから役に立つ。バッグは言わずもがな。聖剣は懐中電灯に、ついでに身も守れる。
…普通さぁ、異世界転生ならここら辺用意してくれるもんなんじゃないの?神様から「手違いで殺してもうたわ」とかもなんも言われず洞窟ぽいで始まるのしんどくない?
現実って甘くねぇなー、鑑定スキルだとかもないしアイテムストレージはスキルじゃないしそもそもこれ一個手に入れるためだけに死にかけるし。
はーあ
ちょっと楽しいな。
さーて続きだ、そろそろスライムちゃんとか出てきても良いんだけど。
ぶんぶんと聖剣を振り回しながら、私はマグもどを後にした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます