data005...奇襲
ボクとマリンが廃墟を飛び出た時、瓦礫の山の向こうでジュドーは二体の蜘蛛型メタリアルに追われているのが、遠目に見えた。
「ゼロハチ、追って!」
『うん!』
ボクはマリンを背負って、瓦礫の山を蹴りジュドーの元へ走った。
短い時間の中で、立てられた作戦は奇襲しかなかった。
どうやらボクには、敵の索敵に映らないステルス機能が搭載されていた。この機能のおかげで、視認されなければ敵の索敵機能に引っかかることはないみたい。
ジュドーを追っていると、やはりマリンの予想通りジュドーは攻めではなく、ボクらを逃すために防戦に徹していた。
「おらぁ! こっちだ蜘蛛野郎!」
パン!とジュドーが銃を撃つと、超高速で発射された弾丸が、蜘蛛型メタリアルの装甲に小さな穴を開けた。
「クソっ、やはりこの程度じゃ無理か」
マリンの説明だとあの銃は、浮遊電磁を応用したいわゆる小型のレールガンとの事。弾丸を摩擦ゼロの電磁浮遊で浮かせて、超高速で射出し攻撃する。
なぜこれだけ科学技術が発達した世界で弾丸? とは思ったけど、メタリアルの装甲は対レーザーに特化しているため、物理的な攻撃じゃないとダメージが与えられないらしい。
「ゼロハチ、ここで待機よ」
『わかった』
ボクとマリンはジュドー達に追いつくと、崩れた瓦礫の影に隠れた。
メタリアルバスターは一度しか撃てない。さらに発動したらしばらくは放出が続くため、動くことも出来ない。反動で方向を変えることも厳しい。
だから、あの二体を同時に倒すには、メタリアルバスターの直線上に、あの二体が並んだところを狙うしかない。
『ダメだ……。全然直線に並ばないよ』
「焦らないで、必ずチャンスは来るわ」
その時、ドゥシューン! と蜘蛛型メタリアルがレーザーを発射。ジュドーはそれをなんとか回避するも、もう一体の蜘蛛型メタリアルは計算され尽くされた動きで、ジュドーの回避先へ砲台を向けていた。
『マリンまだ?! このままだとジュドーが!』
「……まだダメよ。二体が直線上に並んでないわ」
二体同時は無理かもしれないけど、せめて一体でも倒せれば……。いや、ダメだ。マリンを信じよう。待機だ。
今度はバシュン! と明らかに誘導のための小さなレーザーが複数射出されると、ジュドーはそれに釣られて大きく飛び退いてしまった。
それが罠だと知ったジュドーの表情に戦慄が走った。
「しまっ……!」
ジュドーを追撃しようと蜘蛛型メタリアルが動いた時、二体がボクの直線上に並んだ。
「今よ! ゼロハチ!!」
『《機能act》メタリアルバスター!』
ボクの突き出した右手の指が内側に折り畳まれると、複雑な動作を経て、バスターモードへ移行。ヒュイインと駆動音が鳴り、すぐにエネルギーのチャージが始まった。
「な、ポンコツ?!」
メタリアルバスターのチャージ光にジュドーが気付くと、それに呼応して手前にいた蜘蛛型メタリアルにも、ボクの存在を気付かれてしまった。
だが、もう遅い!
『当たれーーー!』
ズギュゥゥゥーーーン!!!
次の瞬間、ボクの右腕から青く輝く大出量のエネルギーが放出された。
手前にいた蜘蛛型メタリアルに直撃! 破壊!
よし! 二体同時だ!!
と思った矢先。
奥にいた蜘蛛型メタリアルが突然大きく跳躍。メタリアルバスターを避けられしまった。
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