第一話 〜神の手違い〜

どうやら私は死んだらしい…


目の前にいる〝駄目な神様〟略して〝駄神〟

それがさっき私にそう説明をした


要約すると『神様の仕事とは死んだ〝魂〟を〝浄化〟した上でその〝魂〟が生きてきた生に対する〝カルマ〟を元に〝祝福と呪い〟を刻み〝次の生〟で〝試練〟や〝運命さだめ〟を与えて〝バランス〟を取ること』らしい

ちなみに一度刻み込んだ〝祝福と呪い〟は死んだ後の〝浄化〟以外では消えないらしい




そんな条件の上で多くの徳を詰んだ〝魂〟は〝神〟として神社や聖域、聖武器などに宿る事が出来て〝守神や土地神〟と言われる〝神仏〟として生きる資格を得られるとのこと…

そして〝神仏〟としてさらに徳を詰み上げた先では、この目の前にいる〝神様〟として、一つの世界を〝創造〟し〝魂〟を含めた〝管理〟する資格を得ると言う


ではなぜその〝神仏〟を超えた〝神様〟とまで呼ばれるものが、この私の目の前で土下座をしているのかと言うと


それは簡単に言って目の前の〝駄目な神様〟

つまり〝駄神〟のミスによる〝謝罪〟の最中だからである




思い返せば私はとても凄かった!

曰く!私はとても恵まれており才能溢れ世界を〝数万世紀〟も進めた〝絶対神〟と自負していいほどの〝超天才的存在〟だった!

運動や勉強をさせれば〝人智を越えた成績〟を叩き出すほどに…その才はまさに世界になくてはならない存在だった!


そんな私がある日、人類不死化計画を取り行っていた時のことだ

あぁここで〝誤解〟があってはあれだから説明するが、もちろん〝完全な不老不死〟を目指す計画では断じてない

私の研究は病気や交通事故などによる死をなくし、老衰による天寿を全うした上での死を迎えるための研究だ

詰まるところ〝健康長寿の完了系〟を目指していたのだ

そんな研究の最中さなか、私は月の急速落下と言う〝未曾有の大災害〟による星の消滅で〝死〟を迎えた




まぁまずあり得ない話なのだが、某国がブラックホール生成実験を失敗させた

その実験で生まれたブラックホールが国を飲み込んだ後も稼働し続け、宇宙空間の星々すら引き寄せる引力を発生させたらしい…

そしてたまたまその研究所近くにあった月自体が、その引力に引き寄せられ落ちてきたのが今回の事の顛末である


な?あり得ないだろ…普通はな!


では何故そんな最悪が起きたか…それがこの現状の答えである




なんでも世界のバランスを平均に保つ事も神様の〝管理〟する仕事の一つらしいのだが…

それをこの目の前にいる〝駄神〟が怠った結果、私のような本来誕生しないはずの〝数万世紀〟先をいく〝頭脳と精神〟を持つ〝超天才的魂〟が生まれたらしい


それを調整する為に超運が強い者から、運自体を減らすのが常套手段と言えるのだが…失敗したと言う


その理由が何を血迷ったのか、この〝駄神〟が私こと恐神おそれがみ神人かみとの運を〝反転〟させる事でバランスを取ろうとした事

が原因らしい


そう反転である…つまり私の持つ〝超豪運〟が反転したのだ…〝超絶不可避の不運〟へと

お分かり頂けただろうか?

つまりその〝超絶不可避の不運〟が作用した結果、星の消滅を招いたと言う事らしいのだ

つまり神様による〝失敗〟が招いた〝終〟だ




な?どうだ、滑稽だろ?

なんて間抜けで愚かしい存在だと思わないか?

自分が創造した世界をだぞ、怠けた挙句に間違えて滅ぼしたんだぞ

世界から〝理不尽な死からの解放〟による〝幸せ作り〟をしていた私の運を〝反転〟させる事で、全ての生の死を招いたんだよ…〝駄目な神様〟だろ?

…それが私が死んだ理由であり、今謝罪を行なっている〝駄神〟がやらかした手違い…〝神の手違い〟というやつなのだ…

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