第34話 雪華古道と山脈の終点
俺とミネルヴァは、長らく滞在していた野営地を離れやっと再開させた。
バイクだと負荷をかけさせてしまうので、ランドクルーザーを走らせている。
出発して3日。
山脈の切れ目が見えてきた。
マヨイガの森から2000kmを旅してきたということだ。
旅程の凡そ半分になる。
山脈を抜けた先は...雪が積もることなく緑が生い茂る草原だった。
車載外気温度計は13℃を表示している。
山脈内は、8℃以下だった。
「あれ?思っていたのと違うなぁ」
「う、うん。私も」
ミネルヴァも、俺と同じイメージだったようだ。
雪原が広がってると思っていたから。
でも、マヨイガの森を出た頃は山脈に雪は積もっていたがいつしか無くなっていた気がする。
俺達は、1度外に出てみることにした。
風は、ひんやりする。
日光の当たりも冬場の柔らかい刺激だ。
「ねえ、シンスケ」
「どうかした?」
「うーん、なんとなくだけど地面濡れてない?」
そう言われて、草原を眺める。
確かに、しっとりしている。
俺は、膝を折る。
そして、地面に手を着く。
思ったより暖かい。
「うーん、地面の温度が少し高いのかなぁ」
「地面の温度?」
「雪が降っても積もらないのは、地面の温度が高くて冷却されないから。
積雪時の地面は、雪の保温効果があって2℃くらいのはずだから。
ここのは、外気温とあまり変わらないように思うよ」
俺の率直な感想だ。
地面に触れてても冷たいと言うよりもひんやりする程度だ。
「ねえ、ミネルヴァ。
ここからは、俺の愛車で向かおうか」
「あのバイク?」
「違うよ」
俺は、ランドクルーザーを仕舞いキャンピングカーを取り出した。
真っ黒なボディのハイエースだ。
「あ!前で写真で見た車」
「これは、2代目だけどね。写真で見たのは、初代なんだよ」
初代もあったよな。
俺は、初代も取り出した。
「同じ車が出てきたね」
「あはは、見た目は同じなんだけど中身は全然違うんだよ」
初代は、全面リアルウッド張りでスライドアウトキッチンがあり、サイドドアを開くとポップアップするタイプである。
これは、祖父から成人祝いで貰った車だった。
感染病が流行る前に、俺は2代目を作成した。
結局、2代目を使ったのは数回だけ。
転移される前に、地元から河口湖に向かうのに使っていた。
2代目は、オールベッド展開、二段ベッドにキッチン、冷蔵庫、照明付き収納棚が付いている。
設備は、こちらの方が潤沢だ。
俺は、ミネルヴァに車内を見せる。
「あ、ホントだね。全然違う。あれ?こっちの方が広い?」
「ああ、2代目の方が少し大きいんだよ」
俺は、初代を仕舞う。
初代には、ゆっくりしてもらおう。
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ここからは、キャンピングカー・ハイエーススーパーロングでの旅になります。
雪華湖都まで残り1000kmほどあります。
次からは、
マヨイガの森から山脈間は、
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