第11話 キャパシティ

シルフィさんを護衛として雇ってから1週間ほどで艦隊としては100万クレジットほどを稼いだ。護衛料や燃料代、食費等の経費除いて1週間で1000万円の額を稼げるのは明らかに異常で、自分とフィアさんの採掘だけでこの星系の2割のチタンを掘っているらしいからわりと目立って来た。


これの6割が自分の手元に入るから、今のところ自分の財産は70万クレジットぐらいだな。中型採掘船があと2隻は買えてしまう金額を1週間で稼げるのは色々と楽しいな。


「で、相談って何?」

「いや何というか……もう1人か2人、人を増やして、中型採掘船を購入したらもっと早いペースで稼げるなと」

「……まあ稼げると思うけど、どうやって人を増やすの?下手したら船ごと持ち逃げされるよ?」

「……なんか信頼出来る人を増やす方法とかない?」

「私任せかーい」


こうなってくると、どんどん人を増やして採掘船も増やしたくなるけど大規模な採掘船団ってあまりないみたいなんだよね。そもそもここまで稼げるのが異常だから仕方ないんだけど。


「孤児院から使える子を奴隷契約で縛るのが一番かなー」

「奴隷契約って……そんな悲惨な条件で雇うつもりはないぞ」

「孤児院の子を雇うってなったら数年限定の奴隷契約が一般的だよ。確か北東第四セクターならイントール星系に居住可能惑星があって、孤児院もあったはず」

「……奴隷商店もちょっと考えたけどあれめっちゃ高いんだよな」

「奴隷も1人100万クレジット前後だから買おうと思ったらもう買えるんじゃない?」


科学が発展しているのに奴隷制度もあるこの世界。人件費をケチろうと思ったら孤児院から雇うのが一番ベストらしい。この世界で孤児っているのかよとは思ったが、軽く調べただけでもこのラドン連邦は2つの勢力と戦争状態にあるから惑星単位で孤児が大量発生しているっぽい。


「じゃあ適当に数人見繕ってくれる?」

「……面倒なことは全部やるって言ったから引き受けるけど、アキラはこのまま規模を大きくしていくつもり?」

「ある程度は大きくしたいなって思ってるよ。それ以降は……ちょっと考えがある」

「ん、分かった。

それなら数人選んでくるね」


どうやって孤児院から雇うのかは分からないままだけど、そういう面倒なことはフィアさんがやってくれるとの条件で組んでいるのでこういう仕事を押し付けてもやってくれるのはありがたい。


その後、孤児達から使えそうな人材を集めるためにフィアさんはイントール星系に向かう。今いるレントール星系から最初にいたハストール星系に移動して、そこからイントール星系に向かうからたぶん片道8時間ぐらいかな。まあ自動運転だしフィアさんは宇宙船で寝れるタイプだからそれほど負担じゃないと思う。


「……フィアお姉さまを使い走りとは良い御身分ですね」

「一応リーダーは自分だし、最初のフィアからの持ちかけ条件は取り分9対1かつ雑用全部フィアがやる、だったからな。

……ところでシルフィは良い冒険者の知り合いとか居ない?艦隊が大きくなるなら、護衛も増やしたいんだけど」

「私だけでも戦力としてはかなりのものですよ?知り合いは……いないことはないです」


シルフィさんにも知り合いの冒険者で、護衛業をしてくれる知り合いがいないか聞いてみるけど知り合いにシルフィさんと同じ年で一等兵の子がいるそうなのでその子に艦隊の護衛をして貰えるか確認をする。護衛料は一等兵なら1日3000クレジットが基準だから……1日5000クレジットも払えば十分かな。


「この子がイザベラちゃんです。年齢は16歳、冒険者歴は3年です」

「おお、可愛い。

……3年で一等兵なら最短昇級か」

「そうです。私と同じぐらいには強いです」

「それは心強いけど……来てくれるかなあ」

「金で頬を叩けば冒険者は尻尾振って来ますです」


シルフィさんと一緒に並んだ写真を見せてくれるけど、シルフィさんよりかは背が高いし、獣人じゃなくて普通の人族だ。髪の毛緑色だけど。流石は宇宙。


……シルフィさんもイザベラさんも16歳となると艦隊の平均年齢がわりと下がるな。なお主戦力はこの2名な模様。自信家でもあるシルフィさんが互角というならかなり強いだろう。


フィアさんがイントール星系で人手を集めている間も、ちょっと採掘をしたいと思ったのでハストール星系に戻ってプラチナを再度採掘しに行く。ようやくステーションのキャパシティが空いて、採掘ギルドのおっさんもバッチコーイと言っていたからプラチナを1000P分×2回分納品して40万クレジットを確保。


「ぷ、ぷらちなを1日で2000Pも掘るのはヤバイです」

「あら、思っていた以上に凄い人なんですね。シルフィちゃんが入れ込むのも納得です」


念のため、今日会ったばかりのイザベラさんも護衛として雇ったけど実際に会ってみると非常に緩い感じの女の子だった。なお乗っている戦闘機は超早い偵察機と分類される機体で、小惑星帯を高速でスイスイと進むので操船技術は高いのだろう。


とにかくこれで、3隻は中型採掘船を買えるな。フィアさんも3人の孤児と契約を結んだらしいし、これで合計7人の艦隊になる。採掘ギルドだと7人でもう中規模の採掘団扱いされるし、この調子だとあっという間に規模が膨れ上がりそうだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る