掌編シナリオ作品2023年度
鶻丸の煮付け
2023-04-19 お題「かぐや姫(脚色)」
「天の月へと昇るため」
南輝夜……25歳女性。不感症
南悠……68歳男性。輝夜の親代わり。血縁関係は無い
〇南家・輝夜の部屋(夜)
鏡台の椅子に座る南輝夜(25)。南悠
(68)、輝夜の後ろに立ち、櫛で輝夜
の長い髪を梳かす。
輝夜「今日の方も……駄目でした……」
輝夜、鏡台の引き出しから数枚の紙の束
を取り出し、それを三枚捲る。
悠「……明日はその方なのかい?」
輝夜、紙束を鏡台の上に置く。
輝夜「すみません、おじい様。ご心配をおか
けしてしまいまして」
輝夜、鏡越しに悠を見る。
輝夜「ですが私は」
悠、輝夜の言葉を遮るように。
悠「月に帰らなきゃいけない、だろう?」
輝夜、鏡越しの悠から目を逸らし俯く。
輝夜「……はい、その通りです」
悠、手に持った櫛を鏡台に置く。
悠「なあ、輝夜や」
悠、輝夜の両肩に両手を置く。
輝夜「わかっています。私の言っていること
が信じられないのは」
悠「いや、輝夜や」
輝夜胸に手を当て鏡越しの悠の目を見る。
輝夜「それでも、このままではおじい様も危
険なのです……」
悠「うん、輝夜だからね」
輝夜、鏡台を両手で叩いて立ち上がる。
輝夜「だから私は! 一刻も早く月へと帰ら
ないと!」
輝夜、我に返りゆっくり椅子に座る。
輝夜「……すみません、おじい様」
悠、輝夜の頭を撫でる。
悠「……輝夜、僕は輝夜が嘘を吐いてるなん
て思ってないよ」
輝夜、俯いて目を潤ませている。
悠「でも輝夜、僕はね、月に帰る方法って多
分絶頂じゃあないと思うんだ」
鏡台の上に置かれた男性の履歴書。職業
欄にはセクシー男優の文字。
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