2023-05-31 お題「ある魚の絵」
※このお題は画像で出題されました。
「フィクション」
長濱賢二……17歳。男子高校生。虚構。
左右田杏子……18歳。女子高校生。虚構。
○創作制作部部室(昼)
長机を挟んで向かい合って座る長濱賢二
(17)と左右田杏子(18)。長机の
上には盆に乗った矢の刺さった魚が置か
れている。
眉を顰める長濱。大きく溜息を吐いてか
ら、目線を上げる。
杏子の声「魚だよ、矢の刺さったね」
杏子、両掌を上に向け腕を小さく開く。
杏子「それとも何かい? 君にはこれがもっ
と別のものに見えるのかい?」
杏子、微笑みながら首を傾げる。
長濱、何度か瞬きをする。小さく溜息を
吐き、掌を対面に向ける。
長濱「あー、すいません先輩。俺が聞きたか
ったのはこれが何かじゃなくて、何でこれ
がここにあるのかの方なんすけど」
杏子、口の前に拳を添え小さく笑う。
杏子「ふふ、すまないね。つい意地悪をした
くなってしまうんだ」
杏子、自分の正面を指さす。
杏子「長濱君、君はやたらという言葉の語源
を知っているかい?」
長濱、目線を魚へと落とす。眉を顰め目
線を上げる。
長濱「いや、嘘ですよねそれ。確かやたらの
語源って雅楽だかだったと思うんすけど」
杏子、愉快そうに笑う。
杏子「ああ、嘘だよ」
杏子、天井を見上げ、目線をカメラに。
杏子「嘘で虚構で、フィクションだ」
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