第71話

先ほど大きな地震がありました。

こちら被害はありませんが、

震源地により近い皆様

どうかご無事でいてください。


71


 ニーナが毅然とした態度で答えると、


「ダフォー、操縦の仕方を教えてやってくれ」


「ええ、良いわ。ニーナ、基本は地球型戦闘機と操縦は変わらない。行きましょう」


 ニーナが無言で頷くと、


「ハァー2には、私だ。ルー、後ろに乗ってくれ」


「了解」


 その言葉を聞き終えて大きな声で言ったのはウイス副長である、


「おいおい、待ってくれよ。航海士のいない海賊屋の船って聞いたことがないぜ」


 その言葉にクロウが答える、


「援護射撃と操縦を頼む、副長。砲撃長キスト、ウイスの指示に従ってくれ」


「無茶だ! 船長代理に操縦、そして砲撃指示ってか、無理、絶対に無理」


「あら、副長さん、以前、俺は覚悟を決めた、っておっしゃられていませんでしたか?」


 迎撃機離発着室へ行こうとしていたダフォー航海長が艦橋内を振り返って笑顔で尋ねる。


「言ったよ、言った。言いました」


「ルー、私の後へ続け」


「了解、父さん」


「おい、俺が先頭で行くべきだろうが」


 迎撃隊隊長ルイスが叫びながら走り去って行く。



 離発着室では、既にフォー2、フォー3が発艦準備を終えて待機している。


「フォー2よりフォー1へ、いつでも飛べますよ」


「待てって、今回は船長が直々に迎撃戦に出陣なさるんだぜ。指示はクロウだ」


 ハァー2のコックピットに滑り込みながら、その無線を聞いてクロウが全機に伝える、


「ルイス、迎撃指示は任せる。我々は後方支援に回る。好きなように飛んでくれ」


「聞いたかい、お前ら、俺の指示に従えよ。飛ぶぜ」


 全艦に離発着室から声が流れる、


「フォー1、発艦」


 続いて、


「フォー2、発艦」


「フォー3、発艦」


 そして、


「ルー、頼んだぞ」


「了解、船長」


 ハァー1コックピットでは、


「ニーナ、その手前にあるのが操縦桿だってことは分かるわね? 右側にあるパネルのスイッチを全部入れて。これで後部座席と全てが一致したわ。これも知っていると思うけど、譬へ後部座席と連動しても、違う動きをすれば前部座席が優先される。左側に大きなスイッチがあるわね? そう、それ。それは緊急時優先装置。どちらかが、それを押せば、押した方の操縦と射撃が優先される。他は迎撃中で教えてあげる。先ずは、後方支援で慣らし運転ね。飛ぶわよ」


「分かったわ、ダフォー、よろしくお願い。こちらハァー1、ニーナ、ダフォー。発艦します」


「ルー、飛ぶぞ。同じくハァー2、クロウ、ルー。発艦」


 勢いよく直線状に飛んだ迎撃機の後を、2機の中型迎撃機が宇宙の海を舞うようにして優雅に飛び出した。

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