第29話

「なあ、オマエ本当に

まどかちゃんじゃねえのか」

アジタが肉を齧りながら

胡桃にたずねた。

「違うってば。わたしは胡桃」

「いや、しかし」

「くどい」

胡桃のローキックがアジタの右脚を捕えた。

「あッ、いた。意外に効くな」

「胡桃ちゃんは、キックボクシング

を習っていたそうだ」

ネジマが話に割って入った。

「へーっ、どの程度までいったんだ」

「三日ですぐやめたわ。練習が厳しいんですもの」

「いや、しかし、今のローはなかなかの

もんだったぞ」

「オマエの実力がその程度だったりして」

「やかましい」


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