第3話湖の空気ってとても美味しいわ
私が目覚めたら魔法陣は消えていた。
なんだろう沢山寝たはずだから、お腹減ったり喉乾いたりするはずなのになにも感じない。そう、私は精霊になっていた。
精霊ってお腹減らないのねって嬉しくないわ!
えっ?どうなってるの?
私は、綺麗な魔石の目の前に行き、顔を確認っと、魔石に映っていたのは小柄な女性、黒髪サラサラロングヘアーの平均的な日本人女性の顔って、私ずっとパジャマのままでいたのね、私の顔だわ、手ある!胸ある!足ある!お腹のお肉もある!プニっと自分のお腹の脂肪をつまんだ。せめて、精霊になる時、お腹の余分なお肉削って欲しかった。って!なにも変わってないじゃない!
「アルジサマ、オハヨウゴザイマス」
急に頭の中に色っぽい大人女性の声がした。
私は声の方向に振り向いた。
そこには、私を攫った巨大な蜘蛛が頭を下げていた、まるでお辞儀をしているようだった。
蜘蛛が蜘蛛がしゃべったー!!!!!
えー!あの、えー!蜘蛛って喋れるの!
あっ、そっかファンタジーだとアラクネっていう上半身人間で下半身蜘蛛のモンスター出てくるし、人の姿だから知能も高いよね。って、目の前にいるのはアラクネさんじゃないんですけど、ただの馬鹿デカい蜘蛛なんですけど!
「アルジサマ、ドウカナサイマシタカ?」
巨大な蜘蛛は首を傾げた
「今、私に話しかけてるのは貴方であってる?」
私は蜘蛛に話しかけた
って、なに私、蜘蛛に話しかけて頭おかしくなったの?でも、確認する方法は聞くしかないし
「アルジサマガ、ワタクシニ、ハナシ、カケテクレタ、ウレシイ、アルジサマ、ワタクシガ、スキル、シネンデンタツヲ、ツカイ、アルジサマニ、チョクセツ、ワタクシノ、カンガエヲ、ツタエテイマス」
「思念伝達ってスキルで、私の頭に直接話しかけてるってことなのね」
話が長いとちょっと聴き取りづらいけど彼女が伝えてることは理解できた。なんか、片言の外国人と話してる感じね。
「でも、何で急に貴方の声が聞こえるようになったの?」
「アルジサマ、ワタクシ、ニンゲンノコトバ、スコシ、リカイ、シテイマスガ、スラスラ、ツタエルコト、ムズカシイ、ダガラ、ツタエルコト、トクイナ、ナカマニ、アッテ、ホシイ」
「わかったわ、その仲間の元に案内して頂戴」
「ハイ、アルジサマ、ワタクシノ、ウシロニ、ツイテキテ、クダサイ」
私は巨大な蜘蛛の後をついて行った
そういえば、私、こんなに大きな蜘蛛をみても怖いと思わなくなっているわ?もしかして、精霊になったお陰で虫耐性がついたのかしら?それとも、話し合えるから?
私は精霊の間を後にし、薄暗い洞窟を歩いていた。
さっきの所が5層目だったら、ゴキブリがいないってことは、今歩いているのは4層目っていうことなのかな?
数分歩いたら巨大な横穴が現れその中へと歩いて行った。すると、ぽちゃんぽちゃんと水が落ちる音がした。
水の音の方向へ向かっていくと、精霊の間で見た光り輝く魔石が暗かった洞窟を明るくし、巨大な開けた空間が現れ、そこには美しい湖があった。私は思わず「綺麗」と口ずざんだが、湖のほとりに何かがいたのが見えた。
いや、ちょっと待て、蜘蛛さんよりもデカいムカデと中ぐらいのムカデの2匹、蜘蛛さんよりは小さいけど、ここからみても見えるぐらいデカいゴキブリ、あとはモフモフ真っ白な蚕そう、ゲームでも登場したヒーリング蚕さんに似たデカい蚕の計4匹の虫達が湖のほとりにいた。
私は歩くのをやめその場に立ち尽くした
うわ、無理よ、無理、あのムカデ、デカすぎない?蜘蛛さんよりデカいとか、いや、デカいっていうより長いって感じ?中ぐらいに見えるムカデもまぁまぁデカいわよ、それが霞むぐらいって、デカすぎよ!私怖いわよ!蚕さんはデカいけど可愛いからよしとして、ゴキブリがいるなんてきつい。私まだ、6層目クリアしてないのにそのラスボスに会っちゃうの?無理よ見たくないわ
蜘蛛さんは私が止まったのに気付き私の方に引き返してきた
「アルジサマ、ダイジョウブデスカ?カオイロガ、スグレナイヨウナ」
「あそこにいるのが貴方の仲間達ってことよね?」
「ソウデス、トテモ、カシコイ、ナカマ、イルノデ、ハナシタイコト、ツタエヤスク、ナリマス」
「ちょっと心の準備してもいいかしら」
「?」
蜘蛛さんはまた頭を傾けた
私は深呼吸をした。それはもう、何度も何度も深呼吸をした。
ここの空気、洞窟とは思えないほど澄んでいてとても美味しいわね。空気美味しいって、思うことあまりなかったけど、ここのは私の人生の中で一番空気美味しい‥‥‥。
心の準備なんてできないわよ。
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