第17話 姉ちゃん参戦フラグ!?

 姉ちゃんに透けた湯着越しだが、大きくなったを見られてしまった。那月さんがあんなタイミングで引き留めたせいだ。一体どういうつもりなんだよ?



 「那月さん、俺に何か用なんですか?」

浴室から出ようとした時に、声をかけるんだもんな…。


「別にないよ~」

彼女は悪びれる様子を見せない。


「…だったら、後は姉ちゃんと話して下さい」


そう言い終わってから姉ちゃんを見たところ、俺のを凝視していた。…ただボンヤリしてるだけかも?


「お~い、姉ちゃん~」


俺の声を聴いて、姉ちゃんはハッとした。


「涼介。何か呼んだ?」


「俺は出るけど、これから女同士で話すんだろ?」


「ああ、それね…。もう良いわ」


「えっ?」


「とにかく気を付けてってことで…」


急に姉ちゃんの覇気がなくなったぞ。どういう事だ?


「待った涼君。やっぱ用事あるから、もう1回つかって」


「何なんですかもう…」

俺は腰を下ろし、再びつかる。


…姉ちゃんの視線も、俺の動きに合わせて下がった。やっぱり観てたのか?


それは良いや。那月さんが話す内容が気になるから後回しだ。



 「さっき、涼華にあたし達が付き合う“心得”みたいなのを聴いたじゃん?」


心得? …もしかして、あれのことか?


>>「だから那月にリードしてもらうっていうか、涼介の暴走を止めてもらうというか…。2人で好き勝手やって、被害者を増やさない方向にして!」


俺と那月さんの関係は〇フレに近いだろうな。いや、そのものか?


「それがどうかしたんですか?」


「それさぁ、涼華も参加するべきだと思うんだよね」


「え? 私も?」

突然振られて戸惑う姉ちゃん。


「いくらあたしが涼君の幼馴染とはいえ、いつでも相手できる訳じゃないからね。あたしにだって、事情や都合があるから」


当然の話だな。仮に被っても、那月さんを責めるつもりはない。


「そういう時に涼華にお願いするんだって。ね? 良いでしょ?」


「良い訳ないじゃん! 私と涼介は姉弟なのよ!?」


「姉弟だからこそだよ。って燃えるでしょ? 涼君?」


「そんな事ありませんが…」


子供の時に“立ち入り禁止”の先が気になった事があるが、それぐらいは普通だよな? 勝手に入ったら『燃える』と見なされるかもしれないけど…。


「まったく、強がっちゃって~」


「別に私が手を加えなくても、涼介が我慢すれば済む話よね?」


姉ちゃんの言う通りだ。


「はぁ~。涼華は全然わかってない!」

大きなため息をつく那月さん。


「何が?」


「男の子にとって、性欲を我慢することがどれだけ辛い事か…」


大袈裟だよ。那月さんがいない時は我慢できるぞ、…多分。


「涼介、今の話本当なの?」


「そんな事訊かないでくれよ、恥ずかしい」


「恥ずかしいって事は、図星なんだよね?」

ニヤニヤする那月さん。


「多分我慢できます」


「多分だって。ここは涼華のために“絶対”って言うところでしょ?」


俺だってそう言いたかったけど、自信がないからどうしようもない…。


「那月。男が性欲に支配されたらどうなるの?」


「決まってるじゃん。誰これ構わず手を出すんだよ」


ツッコむ気が失せるぐらい、滅茶苦茶な事言ってるな…。


「そんな事、絶対させる訳にはいかないわ!」


「でしょ? 涼君が暴走しないように、姉の涼華が頑張らないとね」


「一応だけど、涼介を抑える方法を知っておいたほうが良いかも」

とんでもないことを言い出す姉ちゃん。


正気かよ? らしくないぞ。


「だって。涼君、透けてる湯着脱いで!」


「姉ちゃんマジで言ってる?」


「避難訓練みたいなものよ。使わなくても、知っておいたほうが良いことってあるでしょ?」


「そうだけどさ…」


姉ちゃんは真面目だから、1度やると決めたら折れにくい。真面目が仇になることがあるのか…。


「涼君だけに脱いでもらうのは悪いから、あたしも脱ぐよ」

俺より先に、透けている湯着を脱ぐ那月さん。


…俺のは完全に元気になったし、湯着はもういらないな。脱ぐとしよう。


「涼華。よく見ててね」


「わかったわ…」


俺は姉ちゃんの前で、那月さんのテクニックに酔いしれる…。

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