第11話 姉ちゃん参加で変わる関係性?

 俺と那月さんが真剣に水泳をやっていると伝えた時、姉ちゃんは「私も水泳やって良いかも」と言った。動機は俺にはわからない“体重の増加”になるそうだ。


正直なところ、俺は冗談半分で聴いていた。一般的に女子は水着姿になりたくないはずだし、太ってると思う体なら尚更人前に出るとは思えない。


あの時の言葉は、ただの建前だと思っていたのに…。



 それから時は流れ、直近の祝日。俺はいつもの一式を持って家を出ようと玄関で靴を履いていた。するとリビングから荷物を持った姉ちゃんがやってきて…。


「涼介。私も水泳始める事にしたから」


「えっ?」


「何驚いてるの? この間言ったの覚えてない?」


「覚えてるけど、あれマジだったの?」


「ふざけてあんな事言わないって。気になったらすぐ運動して減らさないとね」


「そうか…」

やはり姉ちゃんは真面目だな。


「那月には伝えてあるから、一緒に行こうか」


那月さんも知ってるなら断る理由はないな。


「そうだな」


俺と姉ちゃんは一緒に家を出た。



 「あんたと一緒に同じところ行くのって、いつ以来だっけ?」

スポーツクラブに向かう道中、隣を歩いている姉ちゃんが訊いてきた。


「小学生じゃないか? 中学からは別々の通学だったし」


「そっか…」


姉ちゃんなりに思う事があるようだ。


「たまには、こういうのも悪くないわね」


「ああ…」


那月さんは既に出かけているから今回は現地集合になったが、そうじゃなかったら3人一緒に向かう事も出来るな。


…小学生の頃を思い出すが、那月さんとは何度もHしてる以上、あの時と同じになったりはしない。Hに関係なく、変わる事と変わらない事はあるもんだ。



 スポーツクラブ前に着くと、那月さんが先に到着していた。


「姉弟仲良く来たみたいだね~」


「茶化さないでよ那月」


姉ちゃんはそう言うが、満更でもないように見える。


「後で涼華の下着の事教えてあげるから♡」

那月さんは俺に耳打ちしてきた。


何で急に姉ちゃんの下着の事言い出したんだ? 訳が分からない。


「? 急にどうしたのよ?」


「何でもない。行こっか」


那月さん先導の元、俺達はスポーツクラブに入る。



 スポーツクラブに入ってからは、ロッカー前で俺達は別れる。男の俺は手早く着替えを済ませ、プールサイドに出る。


女子の着替えは時間がかかるし、先に泳いで待ってるか。


…のんびり25メートル泳ぎ終わってプールから上がると、ちょうど2人がプールサイドに現れた。


姉ちゃんの水着は、那月さんと同じセパレートだ。姉ちゃんは〇ッチな那月さんと違って真面目だから、奇抜な格好はしないか。


「…いくら弟でも、あまりジロジロ見ないで欲しいんだけど」


「ご、ごめん…」

これは俺が悪いな。気を付けないと。


「涼介、前より体付きがしっかりしてるね。顔回りがスッキリしたのはすぐわかったけど、結構頑張ってるんだ~」


「姉ちゃんこそ、ジロジロ見てるじゃん?」


「さっき見てきたお返し」


…那月さんがニヤニヤして俺達を観ている。


「水着をきっかけに深まる姉弟愛か~。面白そうだね」


「姉弟愛って、何を言い出すの? 那月?」


「そうですよ」

今日は一段と訳が分からない。


「せっかく来たんだし、早く泳ごうよ」


俺と姉ちゃんは、先に行く那月さんに付いて行く…。

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