遠くから



昨日、最後まで迷った

あなたの音が聞きたくて

でも、タイムリミット

行かないと決めたのか

それとも行けないと気づいたのか


ほろほろ涙あふれて

あふれても枯れない涙でぬれて

もう、あなたからこんなに遠い

触れた体温も、弦の音も

あなたからこんなに遠い


昨日、電話をにぎりしめて

あなたの声を思い出して

でも、タイムリミット

わたしはもう気づいてしまった

求めたのはつかの間の休息だったこと


ほろほろ涙あふれて

あふれてもあふれても

あふれてもあふれても止まらない

あんなに好きだと言ったのに

あんなに好きだったのに

やっぱり、嘘になってしまうんだね、と思って


だけど、そんな言い訳、

何の意味も持たなかった


改行のズレた、海の上からとどいたメール

仕事の合い間に、送ってくれたメール

それだけのことで、自分を納得させるための

全ての理屈が、瓦解する


こんなにも遠くから

あなたから遠くから

わたしから遠くから

あの街から遠くから

とぎれずに続く恋


どんな関係になるのかはわからない

でもまだ、この気持ちを嘘にはできない

こんなにも遠く離れて

はじめてわかる


この恋が十年先を待ち望んでいることを

こんなにも、遠くから



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