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「ちょっと予想してみてもいいかな?」
「予想って、私の好きな人のこと?」
「そう。誰だが当ててもいいかな?」実は言う。
「お、うんうん。いいよ。当ててみて!」なぜか嬉しそうな声で睦は言う。
睦は身を乗り出すようにして、実の答えに期待をしている。そんな睦に向かって、実は二、三人の自分の友達の名前をあげた。
でも、睦の答えは全部「はずれ」だった。
「あいつでもないのかよ。じゃあ誰だよ?」実は言う。
「まだ、わかんない? 降参?」睦は言う。
「降参」実は言う。
「なんだ。わかんなのか。……残念」本当に残念そうな顔をして睦は体を椅子の背もたれに預けるようにして、つまんない顔をした。
「答えは?」
「秘密」
窓の外の桜を見ながら、睦は言う。
二人は一度、食堂に行って飲み物を購入することにした。実はミルクコーヒー。睦は苺みるくを買って、二人は再び誰もいない教室まで戻ってきた。
その間、一階の渡り廊下を通るときに、二人は外の世界に舞う桜吹雪の風景を一緒に見つめた。
「綺麗だね。桜」睦が言った。
「ああ。本当に」ミルクコーヒーをストローで飲みながら実が言った。
睦は髪をかきあげて、その白い耳を出しながら、しばらくその場に立ち止まって、そんな桜色の風景を見ていた。
実はそんな桜を見る睦のことを、じっと見ていた。
睦はああ、本当に、と答えた実だったけど、実は実は、桜よりもずっと、ずっと花村睦のほうが綺麗だと心の中では思っていた。
「? どうしたの?」自分を見ている実を見て睦が言った。
「いや、別になんでもない」実は言った。
それから二人は教室に戻って、恋の作戦会議を再開した。
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