RAGE&LOVE

鷹山トシキ

第1話 黒い愛

 主人公の榊田夏美は、麻酔科医として一流の腕を持つ女性だ。夫である榊田裕二は成功したビジネスマンであり、二人は幸せな結婚生活を送っていた。

 

 彼らはお互いに仕事が忙しく、なかなか時間を共有することができない現実に直面している。


 ある日、二人はたまたま同じ日に休みを取ることができ、久しぶりにゆっくりと過ごすことにした。朝食の準備をしながら、二人は笑いながら楽しい会話を交わした。彼らはお互いの夢や目標を語り合い、将来について語り合った。


 その後、外出して素敵なカフェでランチを楽しんだ。夏美は裕二に自分の最近の成功を報告し、彼は大いに喜んだ。彼らはお互いを支え合い、励まし合う結婚生活を送っていた。


 夜には、夏美と裕二は自宅でディナーを楽しむことにした。一緒に料理を作りながら、二人は思い出話を交換して笑い合った。彼らは、お互いの弱点や過去の失敗についても素直に話し合い、さらに絆を深めていった。


 2011年3月27日(日)

 夜、裕二の高校時代の友人、石井和也から電話があった。

《東日本大震災怖かったよな?》

「うん」

 最初出たとき、和也はわざと《もしもし》と低い声で言った。

《全く、停電のせいで毎日戦争ですよ》

「そういや、明日おまえの誕生日だな?」

《漸く20代ともおさらばか……》

 裕二の誕生日は7月7日、七夕の日だ。とっくの昔に30歳になっている。夏美は28歳だ。

《誕生日プレゼントは女がいいな……》

 和也は生まれてから今まで恋人がいたためしがない。裕二は言葉に詰まった。

《冗談だよ》

《もしもし?》

 声が変わる。特徴のあるだみ声。

「勇太?」

《そうだよ、地震大変だったな?》

 榊田裕二、吉田勇太、石井和也の3人は高校時代、文芸部だった。ちなみに勇太は部長だ。

 和也から勇太は一生治らない腰の病だと聞いていた。医者からも見放されており、母子家庭な上に相続の件で揉めているらしい。

《石井君が欲求不満で榊田君とやりたいんだって》

《俺の熱い銃が火を噴くぜ》

 

 ある日、榊田夫妻は夜の隅田川にて散歩中、突如として一人の男性が夏美の前に現れた。彼は「鰐」と名乗り、医療ミスを告発しようとするが、その直後に意識を失う。榊田夫妻は土手に倒れている「鰐」を放置したまま家に帰ってきた。


「さっきの人、アンタのせいで弟は死んだって言ってたわ」

 キッチンでアールグレイティーを淹れながら夏美は言った。

「俺はあんな男なんて知らない……」

 裕二はリビングでケータイをいじっていた。

「信じていいのね?」

 夏美は「鰐」のことが心配になった。

 神経反射性失神は、通常、何かに対するストレスに起因する。 痛みや疲れ、緊張などのストレスがあると交感神経が非常に緊張し、副交感神経が交感神経を抑制しようとして、一気に亢進する。 すると吐き気、蒼白、発汗、あくび、便意などの前駆症状が現れ、その後、失神が起こる。


 事件の謎を追い解決するため、夏美は医療界に関わる警察官である二岡と手を組む。二岡は夏美に事件の背景や「鰐」とは何者なのかを教え、協力して事件の真相を究明しようとする。


 榊田裕二が経営する病院では、最近になって患者の謎の死亡事件が頻発していた。夏美は自身の専門知識を駆使し、医療ミスではないかと疑われる症例を調査する。しかし、裏に潜む陰謀と裏社会の存在に触れることになる。


 夏美は次第に、偽りの妻としての自身の過去や麻酔科医であることに関わる様々な秘密に気付いていく。彼女は巧妙なトリックや隠された真実を暴くために、危険な道へ進む決意をする。


 3月30日(水)

 神奈川の外れの夕凪二丁目にあるマンションの隣に来島真也きじましんやが住んでる家がある。老朽化した木造モルタル平屋建て。建物の左手前にガレージ用地がついている。ガレージにはフォレスターが駐められてあった。午前7時、目覚まし時計でベッドから来島は上半身を起こし、瞼を擦った。

 来島は長身で筋肉質な男だ。週末には駅前のジムで鍛えている。来島は富澤製薬の社員だ。医者や薬剤師に自社製品の効能などの情報を教え、製品を売り込むのが仕事だ。製薬工場は夕凪四丁目にある。周囲は雑木林だ。現在、飲むと認知症が大幅に回復する新薬ファイロンを開発中だ。昨夜は横浜市内にある個人医院、南部クリニックの院長、南部憲次郎なんぶけんじろうの中華街のクラブと伊勢佐木町のソープランドで接待した。南部には抗がん剤を売り込むことに成功した。待合室では南部の野球ウンチクを聞かされウンザリだった。来島はスポーツは嫌いだった。苦手ではない、長たらしくて飽きるのだ。高校の頃は美術部だった。だが、上司や同僚は『体だけ鍛えてるアンポンタンじゃないのか?』『男なのに絵かよ』とバカにしてきた。転職するようなことがあったら、帰宅部って言おうか悩んでいた。

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