Orcinus

 初夏の晴天、僕はグラウンド端の金網の所で遮る物のない光の暴力に霹靂していた。


 俄かに同級生達が騒めく。どうやら何らかのレースが始まるらしい。


 何だ? と思い聞き耳を立てる。どうやら競艇の様な物らしい。「競艇は中毒性が高いからアレなんだよな」と誰かの声が聞こえる。やってるのかよ。

 エンジン音が鳴り響き、目の前のトラックだと思っていた水面にビリビリと振動が伝わってくるようだ。水面から今居る金網迄十五ないし二十メートル位か? 競艇の観戦は初めてだが此処迄も水が跳ねるという話を聞いて咄嗟に知人をとっ捕まえて盾とした(虐めに見えるかもだがそういうじゃれ合いは日常茶飯事で、僕も別件の盾にされた事もある)。


 レーススタート!


 爆音を上げつつ数台のボートが目の前を通り過ぎ、案の定水飛沫が降り掛かる。大した量ではなかったが其れでも人間バリアーの甲斐なくかかり、僕もバリアーも、僕達全員が燥ぎながらレースに見入った。


 ボートが通り過ぎ、しんとした水面……


 其処を右から、まるで水面をミシンで縫うが如く、何らかの物が十数体、イルカショーが如く五メートルは跳ねて着水を繰り返し、何かに追い立てられる様に左へと逃げて行った。


 何事かと水面に近付き覗き込む。其処には余りに跳ね方が強過ぎたのか、一メートル程の鮭の様な魚が横腹をプカリと浮かせて浮いていた。浮いたばかりだというのにまるで焦げ過ぎた焼き魚の様にズタボロになった姿、水面を真っ赤に染める血……最初は物珍しく思い写真に撮っていたが、其の余りの惨めさに不快感の方が増していた。


 また同級生たちが騒めく、其方の方を見ると……水面と観戦場所の間に大量の、二、三メートル程の長さの死骸の山が……。

 最初は何だ? と思ったが、其の白と黒の特徴的な文様……実際生で見た事がないが、これは……


 シャチ、だ。


 武器を持つ人間以外の天敵が居ないと言われる、海の王者。

 其れがあはれにも、まるで偶にニュースで見る天災で海岸に押し寄せた小魚の群れが如く観戦場所の水辺にぎゅうぎゅう詰めに……。

 其のビジュアルと死骸の発する腐敗臭の為、先程も感じた不快感が頂点となる。周りの同級生達も同じく感じたのか、喧噪の中から吐瀉音が聞こえる。幸い僕は吐かなかったが。

 シャチだ、シャチだという声も聞こえるが、シャチにしては随分小さくイルカにしては大きい。子シャチかとも思ったが何故かすんなりと同属の「●×イルカ」という名前が出て来た。

 同級生の一人が「競艇場なのにこの様なシャチの群れが居るのはおかしい」と呟く。確かに何らかのアクシデントで、此方に紛れ込んだと考えるのが妥当だろう。


 其の死骸の山を見て、競艇場という人間の娯楽の為に作られた施設に迷い込んで死ぬとは、正しく人間の罪の深さだよな、と僕は思った。



……



※この物語はさっき見た夢を元にしたフィクションであり、無論この様な事が実際に起きた訳ではありません。

 そして夢ベースの話の為こういう感じにしますたが、別に自分は競艇の事を悪く思ってないですので誤解なきよう(むしろ近くにあったら見に行きたい)。



……

上の注釈迄が当時近況ノートに掲載した時の文章れす。

夢ならではの不条理性迄其の侭書いた物なのでふいんきだけ楽しんで貰えれば^p^

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