君がいてくれたから(第三章)

ラグランジュ

第1話 優しさに触れて

 俺、どうしたのかな?はると!はると!って、呼ばれ続けていたような?


 誰だったのかな?呼んでいたの?出会った人々を思い出して見ようかな?


とりあえず、


※みさ…はるの彼女。週末会えるはずだったが出張が入ってしまった。最近までラブラブだったが、ここのところ、すれ違いが多くなってる。りなと同じ職場で同期。


※りな…はるとの幼なじみ。はるとの元カノ。海外から戻ってきて、部長となり、現在はるとの上司。りなの希望で俺は秘書を?何とかやってる。


※ユキ…はるとの相談相手。お姉さんタイプ。喫茶店をるいと経営してる。優しいけど、少しおっちょこちょい。


※るい…ユキと喫茶店を経営してる。凄く元気で、何やるにしても全力、猪突猛進タイプ。可愛いので常に彼氏がいる。ハイキックが得意。


※レイジ…はるとの前職場の同僚。イケメンで、っすという語尾が口癖。お気楽で、楽しく事故をしている。さき、みさき、と研究所での仕事を続けることになっている。



………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………



【ここは?駅にいたような?】


【気がついた?はるとくん】


おわっ、ユキさん?


【俺、何があったんですか?駅にいたけど】


【はるとくん、倒れたの覚えてない?るいに連絡して二人でも無理そうだから、レイジにも来てもらって。ここまで運んだの】


【すみません、ご迷惑おかけして…レイジさん?】


【はるとさん、お久しぶりっす!】


【レイジさん、ご迷惑おかけしてすみません】


【いいっすよ!明日休みっす。俺も泊まるっす】


泊まる?俺も?


【はるとくん、レイジと同じ部屋でいい?二部屋しかなく、私とるいが同じ部屋で。元々私が使ってる部屋だから、るいの部屋は…とにかく汚い!とても見せられないから】


えー、そんな迷惑かけられない…


【ユキさんの部屋を借りるなんて、申し訳ないから近くのホテル泊まります】


【そっちのほうが心配だよ。何か合っても対応出来ない。とにかく今日は泊まって!来週病院に行くこと!いいかな?】


レイジは、


【俺はいいっすよ!あっ、痛っ、何するんスカ?】


るいさんが、


【お前が決めるなっての!お陰で私が部屋の掃除する羽目になったろうが!】


ユキさんは、


【ちょうど良かったね。そうしないとあの部屋いつ掃除するやら、この短期間でよくあそこまで散らかせるよね】


るいさんの性格からして、解る解る!るいさんが、


【はると、疲れたから私寝るけど、明日休みだから起こさないでね、じゃ、レイジ、いびきかくなよ】


【いびきって自分じゃ解らないっす!はるとさん、うるさかったらすみません。じゃ、先に寝ます】


【気にしないでください。俺もいびきかきますよ】


ユキさんと二人に、


【はるとくん、もう寝る?】


【目が覚めちゃって、とりあえずここにいていいですか?】


【じゃあさ、テラス行こうよ!ホットコーヒー入れるね】


………………………テラス………………………


海の音、夜風、最高じゃん!落ち着く〜〜〜


癒やされる〜


【お待たせ!寒くない?はい☕】


【ありがとうございます。ちょっと寒いけど、大丈夫です。このハンモック最高!】


【いいでしょ!混んでる時は出さないけど。このテラスからの眺め、それでここに喫茶店だすと決めたんだけどね。あの混雑だから楽しむ余裕なくて。はるとくん、本当に何かあるんじゃない?私には話したくないかな?】


【ユキさん、情けない姿見せても、いいですか?】


【どうぞ、遠慮なく】


泣けるよ、その優しさ…🥲🥲🥲


【俺、向いてない仕事していて、みんな着実にこなす中で、情けなくて、辛くて、自分なりに頑張ってきたけど最近では週始まりが怖くて…】


 ユキさんが、立ち上がり、後ろから両肩に手をおいて、その手で包みこんでくれて、肩からすぅーと何かが抜けていった。そして、暖かさを感じた。


ユキさんは、優しい言葉で、


【背負いすぎたね、なんかいろいろとあったからね。るいからも聞いたよ。過去でるいを守ってくれたんでしょ?勇者さん】


【勇者なんてとんでもない。ユキさん、ありがとうございます】


【疲れたときはここに来て、私には何でも話して…あれ、どうしたのかな?甘えたいのかな?少し子供に戻ってるのかな?ふふっ】


 りな、みさは同い年で話せないことも、あなたには全て話せます。


 今度は、俺がいつの間にかユキさんを抱きしめて、ごめん。もう少し…この状態でいさせて。


ユキさんは、何の抵抗もせず、俺の髪を撫でて、


【はるとくん、これ恋じゃないって解ってるよね?優しさと恋を見失わないでね。いつでも来ていいからね】


【ユキさん、解っています。あなたの優しさが嬉しくて、俺を暖かく包んでくれて】


【じゃ、もう大丈夫だね】


【はい、来週から頑張れます!】


ユキさん、両手で頬を抑えてきて、


【頑張らないでね、自分に優しくね】


ユキさんの言葉、響きます。


【そうですね。ユキさん、あなたの彼氏になる人は幸せですね】


【そうでしょ!お嫁さんにしたら最高のタイプだと思うよね?】


お嫁さんとは言ってないけど、調子に乗ってんな。


恋じゃないけど、ユキさん、素敵な女性だね。


恋じゃないけど…弱ってるからかな?俺。


【そろそろ寝ます。レイジさんのいびきうるさかったら、このハンモックで寝てていいですか?】


【いいよ、入口の鍵ここに置いておくね。じゃ、おやすみ。はると】


【はい、おやすみなさい】


ん?はるとって言った?距離近めかな?


少し寒かったけど、あなたの優しさは暖かい…



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