第2話 初回夢 引っ越し
私は初めて一人暮らしをしたマンションから引っ越しを数回しているのですが、夢の中では最初に一人暮らしを始めたマンションに引っ越して来てました。
出戻りの引っ越しです。
戻った理由はわかりません。
ただ、このマンションでの生活に、良い思い出はほとんどありません。だから、
「嫌だなあ。なんでまたここに戻って来たんだろう。不吉だなあ」
と、荷解きしながらも私の心はまったく晴れません。
部屋は東北の角部屋です。
だだっ広いリビングダイニングの北側は一面ガラス張り。
窓を開けると広いベランダになっている。
冬場は北一面の窓から寒風が吹き込むため、しんしんと底冷えがする部屋でした。
けれども夢の中では、北側のリビングダイニングがキッチンと和室に改装されていた。
玄関を入り、廊下をまっすぐ進むと対面式のキッチンがあり、ダイニングがあり、北側の和室に続いている。南側はトイレとバスルーム。ヘンテコな間取りではあるものの、北風ピューピューではなくなっていた。
良かった。少しは寒さが和らぐかもしれない。
引っ越しには数人の友人が手伝いに来てくれていた。
そして、なぜか前住人の四十代ぐらいの女性の荷物が、まだそのままになっていた。
荷物を運び出す彼女と、運び入れる私とで、部屋の中は大混乱。
治安の悪い地区なので、どさくさに紛れて窃盗犯まで侵入しようとしていた始末。
私は前住人に早く荷物を出すように叱咤しながら、十五、六歳の少年少女とみられる窃盗団を家の中に入れまいとして奮闘した。
すると、最後に前住人の女性から、自分はもう着なくなったので、良かったら着物を差し上げますよと言われた私。
一気にテンション爆上がり。
初春らしい薄桃色の小紋や、伝統的な文様が袖や裾にほどこされた訪問着。
帯揚げや帯締めも大量にあり、それを無償で譲ってくれると言う。
どの着物も絹の光沢が美しい一級品だ。
私は薄桃色の小紋が気に入り、羽織ってみるなどをして楽しんだ。
【自己分析】
私は日常生活で不快な思いをしたりすると、必ずといっていほど、このマンションに『出戻る』夢を見ています。夢の中で「いちばん住みにくかったのに、また戻ってきちゃったよ」と嘆息する夢。
ですが、今回はネックになっていた『北面は全開の窓』『北風ピューピューのリビングダイニング』という構造の欠陥が、改善された点が大きな変化。
こういった展開は初めてです。
引っ越し泥棒集団を撃退しながら、前住人の荷物を運び出しながらで、てんやわんやの引っ越し作業でしたけど。最終的には非常識な人だと憤っていた前住人から、思いがけなく一級品の着物をプレゼントされるサプライズまで。
*不快な体験をする→不快だった過去へ逆行し、不安や自己嫌悪が増幅される。
*不快だった体験を象徴するマンションに出戻る。→不快だった要因がリフォームされていた。最初は何て迷惑な人だろうと憤っていた前住人から、大好きな着物をプレゼントされる。
上記のように、『不快な体験』をケアしてくれるようなサプライズがありました。
毎回見る夢の顛末が、不快で不安なままではなく、『ほっとする』『嬉しい』といった感情に転換されている。初回夢では、そのような変容がありました。
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