第2話ミーニャの決意

「デーヴァ国が…レインローズを落とした?」


「…その通りです」


「何故…何故お母様は…」


「…今…我が国を治めていらっしゃるのは…ダイア様ではありません…デイル様です。希少な男性です…」


「!? デイル…」


「ダイア様は…デイル様に全権を委ねました…」


「…あなたは…」


「既に私達はデイル様にこの身を頂いてもらいました…」


「そう…なのね…」


「そこに…愛という…夢に見たモノはありませんでしたが…」


「カーラ…」


「話…し過ぎましたね…。デイル様はエルという者を欲しておられます」


「っ!? それがデーヴァ国がレインローズに来た理由なのね…」


「その顔…知っておられるのですね、その者を?」


「よく知ってるわ…」


「どこに居るのです?引き渡してはもらえませんか?」


「…引き渡すと思う?」


「渡さないでしょうね…。あの頃は引き分けていた私達ですが今はどうでしょうね?私があなたの腕を落としたら教えてもらえますか?」


「…勝負は一瞬で決まるわ…立っているのは…私」


「大した自信ですね…」


 共に剣を構え…勝負は言葉通り一瞬で決まる…


 カーラよりも速く動き…カーラよりも速く剣を振るう…ただ…それだけの事…それだけ私達の差は広がっていた…。


「…ごめんね、カーラ…私はもう二度と負けられないの…」


 ドサッ! 


 ―っと、カーラは倒れ…


「…エル様をあの時の様に守れない女には二度となりたくないのよ…」


 物言わぬカーラに私はそう言葉を続けた…。




 強襲は成功して敵軍の正体、敵軍の目的も分かった…。でも…これはエル様には言えない事…。


「ミーニャ…」


「奥様…聞かれていたのですね…」


「デーヴァ国が相手なら…あなたはエルの傍に…」


「いいえ…奥様…逆で御座います」


「…」


「お母様は…道を誤りました…ならば…私が…私の手で止める所存です」


「無理は駄目よ…エルも心配するからね?」


「はい、勿論です」


「…それにしても…」


「他にも何か懸念が?」


「あなたが私より先にエルに抱かれるなんておかしくないっ!?」


「…おかしくありません」


「私の初めてを奪ったのはエルなのにっ!?」


「…それは…多少…語弊があるかと…」


「エルの逞しいアレを私も…こうなったら…夜這いしてでも…」


「エル様に夜這い等かけさせませんよ?」


「私、母親なんだけど!?」


「エル様が望んではいないではないですかっ!?」


「私が迫れば望むわよっ!」


 私が落ち込まぬ様にそう言って下さる…奥様。お心遣い…感謝致します…。ですが…お母様は…必ず私が…


「今夜アタックするわっ!」


「させません…」


「ちょっと、ミーニャ!?そこは協力してくれないのっ!?」


「する訳ないではないですか…」


「先っちょっ、先っちょだけでいいから!ねっ?ねっ?ねっ?」




 そして…そうこうしているうちに戦力が整った同盟軍はついにこちらからレインローズへと向かう事になった…。その道中でベガ公爵の娘とスピカ公爵の娘とそれぞれが率いている者達も合流する事になった…。それぞれ親から自分が戻らない場合はアルタイル領へと向かうように言われていたらしい…。この2人とは後に会う事になる…。



 勿論陛下とランスはアルタイル領に残っている…。俺っ?俺はというと…正直に言おう…。レインローズへと向かった同盟軍に付いて来ている…。何故そんな事をかって?

 

 それは…ティアもこの戦いに参加しているからだ。ティアだけじゃあない…。母さんにミリア、マリン、レイラ、ミーニャ、レーティ、リンリン、カイラ、エリン…みんな参加しているんだ…。だから…俺は…彼女達が心配で付いて来たんだ…。


  

 あの時とは違う…。俺だって…戦う術は習った…。それに…武器も作っておいた…。俺だけの武器…。彼女達が危ない時は俺がコレで…。

 

 武器を握りしめながら俺はそう決意した…。

 

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