エリカvsヘルファング
魔人フォカロルの放った突風により
屋敷の外に放り出されてしまったエリカ
そのまま屋敷近くの森まで飛ばされてしまった
エリカは不得手な風魔法で少しだけ体勢を整え
森の中に着地しようとしたが勢いが殺しきれず
着地と同時に尻餅をつき
そのまま数回転がって木に打ち当たり止まった
『くぅ〜〜〜いたたた・・・・』
体を起こすと周辺を警戒した
森に落ちる直前にフォカロルが放った
大型の狼魔獣のヘルファングが
4匹追ってくるのが見えたからだ
『ヘルファングが4匹・・・
私を中心に距離を保って
周回している
獲物を狙い定めてるのかしら・・・
一気に燃やしてしまいたいけど
こんなとこで炎の魔法を使っちゃったら
森、丸ごと燃えちゃって
被害者を出してしまうかも・・・』
そんな事を考えていると
4匹のうち1匹がエリカの背後から
急に襲ってきた
一直線にエリカの背後から爪で攻撃をくわえ
そのスピードのまま反対側の森の中に消えていく
エリカは弾き飛ばされる
『ぎゃっん!!!』
背中に杖を背負っていた為
大事に至らなかったが
大型の狼に弾き飛ばされ
地面に叩きつけられた
さらに爪によってローブが裂けた
杖のおかげで背中は守られた事は幸運だった
『くっそ〜あとで覚えてろよぉ〜』
怒りながら立ち上がった時だった
また別のヘルファングが目の前に現れた
エリカは咄嗟に杖を盾にして防御するも
またしても爪で弾き飛ばされる
ヘルファングはエリカを弾き飛ばした後
反対側の森の中に消える
ヘルファング達はエリカの周りを
ゆっくり周りつつ
エリカの隙を見つけては
一直線に飛び込んできて爪で攻撃
そしてそのまま反対側の森へ消える
狩をしているかの如く
エリカを少しずつ痛めつけていく
弱った所を最後は牙で仕留めるつもりなのだろう
『ハァハァハァ・・・・
いい加減してよね
なめんじゃないわよ・・・
あんたらにやられるくらいなら
森だった燃やしてやるわよ
私は聖女でも正義の味方でもないんだからね』
そう言って迎撃体勢を取ろうとしたのだが
エリカはグッと堪える
森ごと燃やしてしまったら
人がいればただではすまないし
森に住む動物までも犠牲にしてしまう
そんな事を考え
痛めた体を手で押さえながら
『もう少し近づいてきなさい・・・』
ぼそっと呟く
ヘルファング達はエリカへの攻撃を
続けながら少しずつ間合いを詰めてきていた
エリカはなんとか杖で防御しつつ
なんとか凌いでいた
無傷という訳にはいかなかった
ローブはあちこちがボロボロになり
ヘルファングにによる攻撃を受け
地面に叩きつけられる事もあり
あちこちが打撲していた
ヘルファング達は均等に距離を保ちつつ
エリカへの距離をじわじわと詰めてくる
『いい子だから
もうちょい近づいてくれるかな』
エリカはにやりと笑う
ヘルファング達ジリジリと距離を詰めてきた
そしてエリカの疲労状態を見定めたのかトドメを差そうと
4匹同時にエリカに向けて飛びかかろうとした
その時だった
エリカは杖を立て地面に突き立てた
『アースウォール!!』
そう叫ぶとエリカが青白い光に包まれ地面が揺れる
ヘルファング達は動揺し動きが止まり
辺りをキョロキョロとしている
エリカが杖を地面から抜き両手で持ち上げた瞬間
エリカを中心としてヘルファングの背後に
地面から壁が立ち上がり
やがてエリカとヘルファングを囲った
エリカとヘルファングは土の壁の中に
閉じ込められた状態となる
エリカは自身の魔法で
ヘルファングが逃げれなくなるくらい
高い土壁を作るまで攻撃に転じず
ずっと耐えていた
『ふふふ・・・逃さないわよ!』
ヘルファングが動揺している間に
エリカは更に魔法唱える
杖を手放し片手を上に上げて
掌を天にかざし
『炎の矢よ
狼達を焼き尽くせ
ファイヤーアロォォォォ!!!』
そう叫ぶと上空に無数の炎の矢が出現し
そしてヘルファング達に降り注ぎ始める
その矢の数は100を超える勢いだった
ヘルファング達は炎の矢を浴び続ける
周辺の木が燃えヘルファング達を
巻き込んでいく
やがてその姿は見えなくなり
全てを燃やし尽くし炎が消えていく
エリカはフフンと笑い
『どーだ狼ども
アハ・・・ハハハ
はぁ〜疲れた』
エリカは勇の事が気になり
痛めた体を引きずって
館に向けて歩き始めた
続く
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