(四)-2
そうして、拓弥はここへ来た。それは拓弥自身の意志ではなかった。拓弥が考えることはいつも父にどうやったら抵抗できるかということであった。父に進路を決めつけられていたこともあり、自分で将来何をしたいかなどは、少しも考えたことがなかった。
だから拓弥は拓弥に何かさせようとする人間のことが嫌いだった。学校の教師はその際たる例だった。
学校では女子生徒によく迫られたが、彼女たちは、甘えてきてかわいく愛らしい存在ではあったが、彼女たちは必ず拓弥に自分を愛するように強制してきた。拓弥にはそれが嫌で嫌で仕方がなかった。
実奈美はその点、拓弥に何かを強制することがなかった。彼女は看護師の仕事の鬱憤晴らしに拓弥とのセックスを楽しむために来ているだけで、拓弥に自分を愛させることはしなかった。だから、彼女のとの関係は続いていた。
(続く)
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