第34話

今回も二日間かけてシドル村へやってきた。

ちなみに遠征前に『魔法兵(炎)』2体をきっちり強化してきた。


「おい、下民のお前らだけで行ってこい」

「し、しかし……」

兵士たちで揉めているようだ。


「なんだ? 逆らうのか?」

「いえ、めっそうもございません……」

雑魚兵士がエイハンに命令している。

どうやらエイハンたち下民兵士たちだけで、あたりを偵察するように命令しているようだ。


「ゲートを3つ見つけたら報告して戻ってこい」

「はい……」

まぁ納得はいってないだろうな。

雑魚兵士たちは村の廃墟で休んでいるだけだ。


ぶっちゃけ俺としてはどっちでもいい。

雑魚兵士がいなくなったところで、ゲート破壊にはそれほど影響がないだろうからな。

むしろ、走っての移動や謎の圧力をかけられない分、俺たちだけでゲート破壊した方がやりやすいまである。


「おい、誰が行っていいと言った? お前らは残って薪拾いだ」

「「「はい」」」

俺と奴隷たちは居残りか。

てっきりエイハンたちと行ってこい、という意味かと思った。


「待ってください。この者がいなければ、ゲートの破壊ができません」

「だからゲートを発見したら報告しろと言ったろ?」

うわぁ……

二度手間だろ。

俺が一緒に行けば破壊できるのに……


「はい……では行ってまいります」

エイハンたちはゲートを探しに向かう。

俺としても移動はしておいて方が良かったんだがな。

マップが拡張できる。


「おい、お前らは薪拾いだ。それからこの廃屋の掃除だ。使えそうな建物は修復しろ!!」

「「「はい」」」

んで、自分たちが快適になるように奴隷を使っていくわけか。


しかしこれはマズくないか?

俺はスイセンのほうをチラ見する。


不自然な動きは無い……無いが……

エイハンがゲートを探しに行ってしまったあと、残るは偉そうな雑魚兵士ばかりだ。

スイセンなら丸腰であいつらを全滅できそうだが……


頼むから、早まったことはしないでくれよ……


□□□


俺たちは薪を拾い、火をつける。

さらに周辺にある大小様々な石を集める。


今回も肉体強化のおかげで楽ちんなのだが、一応疲れたふりをしておく。

「はぁ……はぁ……」

俺と同じように、スイセンも疲れたふりだろう。

あいつの体力も相当あると思われる。

だが、他の奴隷はまいっているようだな。


「さっさとしろ!!」

ピシィッ!!

鞭だ。

遠征にも鞭を持ってきているのか。


「よし、積み上げろ。これはそっちだな」

「はい」

廃墟の修復だ。


俺たちは火が落ちるまで廃墟の修復をさせられた。


□□□


日が暮れたがエイハンは帰ってこない。

前回の遠征で村周辺のゲートは破壊したからな。

少し離れないとゲートは無いのだろう。


今日はこのまま就寝かと思われた……


「おい!! 奴隷ども!! すぐに来い!!」

なんだ?

雑魚兵士たちが騒いでいる。


「こっちへ来い!!」

俺たちは顔を見合わせる。

来いと言っているところは、兵士たちの野営場所だ。

俺たちが勝手に入ると、ぶん殴られる。


「何をしている!! さっさと来い!!」

「「「はい」」」

俺たちは、兵士の言われるがままに、奴らの野営している廃墟に入っていく。

廃墟といっても、俺たちのより全然良い環境だ。

中は明かりが灯っており、天井もきちんとあるため暖かい。


「そこだ!! ここを開けろ!!」

ザザッ!!

兵士が砂埃を振り払うと、木の板が現れる。

石造の床に木の板……

地下だろうか。


「はい」

奴隷の一人が板を持ち上げる。


ギィ……


「おい、お前は待て」

「はい」

俺が死ぬと困るもんな。

俺だけ待機だ。


「中の様子を見てこい!!」

「「「はい」」」

他の奴隷たちは丸腰で強制的に中の様子を見に行かされる。


「何かいます!!」

下から大きな声が聞こえる。

あれはスイセンだな。


「人? いや!! エルフ!! エルフの女です!!」

な!!

マジかよ!!

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