第4話

俺は『強化』の項目をタップする。


『肉体強化 10:Lv1』

の文字が現れる。


『食料』のときのように、項目がいくつか出てくるのかと思ったがそんなことはなかった。

『肉体強化』をタップしてみる。


ん?

足の裏の痛みと身体の疲労が軽減された気がする。

というのは、無くなったわけではないのだ。

しかし、少し楽になったか?


俺は再び台座を見る。


『肉体強化 20:Lv2』


レベルが上がっているようだ。

台座の右上を確認する。


『魂 89 / 毎時魂 10 / ゲート破壊 1』

まだ魂があるな。

もう一度強化しておこう。


俺は『肉体強化』をタップする。

『肉体強化 30:Lv3』

上がっているな。

さらに、足の裏の痛み、身体の疲労が軽減される。

これならまた動くことができる。


残りの魂は69だ。

もう一度強化できるが、どうしようか。


いや、さっき確か兵士が作成できるとかって話だったよな。

俺は『魂兵こんぺい』をタップしてみる。


『魂兵の作成には、『魂兵作成室』、エルフの協力、魂100が必要です。

 『魂兵作成室』、魂が不足しているため、作成できません。

 ※現在の魂では、エルフに接触すると命を落とします』

は?

何やら物騒な注意書きがる。

命を落とす?


「ちょ……あの、勇者ってエルフに接触と死ぬんですか?」

すでに接触はしていると思うのだが、生きているぞ。

「あの、言い伝えでは、未熟な勇者がエルフの秘部に触れるとその魔力に耐えられないことがあると聞いています」


「え?」

今、秘部って言った?

フェリスは何やらモジモジしている。


いやいやモジモジしてる場合じゃねぇよ。

「あぶな!! 知らずに触ってたら死んでたってことですよね!?」

「え……あの、でもそれは無いと思います。エルフもそれなりに動けるので」

あーはいはい……俺がノロマってことですね。


「では、この接触っていうのは、物理的な接触って意味ですね」

「そうだと思います」


「あと、魂兵の作成には、エルフの協力と一定量の魂が必要みたいです。協力っていうのはなんなんでしょうね」

「…………………」

フェリスは俯いてモジモジしている。

このときどきモジモジするヤツはなんなんだろう。


「それから、今はその魂の量が少ないため、魂兵は作成できないみたいですね

「そ、そうですか……」


それならば、もう一つ『肉体強化』のレベルを上げてしまおう。

『肉体強化 30:Lv3』

をタップすると、かなり身体が軽くなった。

足の痛みと肉体疲労がほとんどない。


『魂 39 / 毎時魂 10 / ゲート破壊 1』

現状はこれか……


「では、戻りましょう」

「はい……」

アイツらのところに戻るのか……


俺は扉を開ける。

扉の外には、腕組みをしたボーダーと、兵士たちがいる。


「遅いぞ!!」

「申し訳ございません」

フェリスが頭を下げる。

クソ……みてろよ……魂が集まったらボコボコにしてやる。


「中には、この者しか扱えない装置があり、それでこちらを手に入れました」

フェリスが小麦一束をボーダーに渡そうとする。


「ふざけるな!! たったのこれだけか!?」

ボーダーは小麦をぶん取ると怒鳴りつける。


「待ってください」

ここは俺が説明をしなければ……


バギッ!!

ボーダーの裏拳で吹っ飛ばされる。


ズザァ……


いってぇ……

さっき肉体強化してなかったらヤバかったぞこれ。


「誰が話していいと言った!! 貴様のような下賎の者がこの私と話すなど畏れ多いことだと自覚しろ!!」

クソ野郎め……

「お待ちください。どうかこの者に説明をさせてください」


「チッ……」

ボーダーは這いつくばった俺を見て舌打ちする。

「いいだろう、さっさと話せ」


「はい……ゲート破壊のエネルギーは、利用するまでに時間がかかるようです。しばらく時間が経てば、また小麦が収穫可能だと思われます」

「ほぉ……それはどれくらいかかるのだ?」


「時間が経った分だけ収穫できると思われます」

バギッ!!


再び殴られる。


「それがどれくらいかを聞いているのだろうが!!」

「はい……一日に先ほどの量は収穫できます」

当然だが、実際の量よりも少ない。

小麦には魂が20必要で、毎時10の魂が与えられる。

つまり、実際は二時間でこの量が手に入るのだ。


「チッ……たったのこれだけか」

「ただ、ゲートの破壊数を増やせば、収穫量が増えるかもしれません」

多分そうだろう。

ゲート破壊数もカウントされていたしな。


「馬鹿者!! それを早く言え!!」

バキッ!!

またもや殴られる。


クソ……だから説明してんじゃねぇかよ。


「ならば、さっさとゲート破壊に行け!!」

ボーダーはそう言い放つと、兵士たちの方に振り返る。


「おい、お前たち。コイツと一緒に行ってゲートを破壊してこい。私はエフラン様に報告してくる」

「「「はい!!」」」

これからまたゲート破壊か。

マジで『肉体強化』しておいてよかったな。

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