平穏な生活があれば私はもう満足です。

火あぶりメロン

第1話 明晰夢

それは繰り返す日々、同じサイクル。


仕事が終わり、帰宅、夕食。

毎日一番幸せな時間は寝る前のゲーム、アニメ消化、漫画や小説を読むな時。

土日もゲームや動画で丸一日。

これで一週、繰り返し。


昔は同人活動に参加しましたね、この年齢になったからか、20年前より今の娯楽が増えたのか、それとも転職したあと忙しいの言い訳ですが、同人活動をするやる気もなくなった。


今の俺は職場近くにひとり暮らし、ワンオペで会社の支店を任された。

仕事量は多いが、社内の面倒くさい人間関係がなく意外と行ける。

両親もお姉ちゃんもいる、仲は…いいと思う。

お姉ちゃんはもう結婚し、放任主義な両親は病や怪我もなく老後の生活を満喫中。


それで今日から俺は38歳になった。もうアラフォーのおっさんの仲間入り。

仲がいい友人は遠く離れて住んでいるので、今年の誕生日もお祝いメッセージのみ。

彼女?もう以前のように欲しくはないさ、30歳前後のときは焦って今では考えられないくらいに、積極的に相手を探してる。この方といい感じだと思うと勇気持って告白したよ、マッチングアプリも試したし、結果は当然…。



“あなたとは気が合うし友人として話すのは楽しい、でもごめんなさい、弟にしか見えないの。”



そう弟、38歳なのに、お父さんに似て顔は20歳前後の童顔。良いことは多くないし、逆に俺にとって悪いことの方が多い…職場ではお客さんや昔の新人たちに頻繁に若手と見られ、毎回嫌味を言われたし。仕事で言われたのは仕方ないとして我慢するしかない。


デート中、店のスタッフはお連れの女性を俺の姉やお母さんと勘違いしてる。こんな風に言われた女性が俺を嫌わない方がおかしい。逆に若い子相手の時、まさか30歳以上とは思わなかった…すぐ振られた。


沢山の失敗によって、結婚のことを考えなくなった。いざ諦めると段々三次元な異性との恋愛に興味はなくなった、単なる普通な“人”として見ている、こころがドキッとしない。まぁいいですよ、二次元の嫁がいればそれでいい。



そう!俺には二次元の嫁がいれば満足です!



それはいつからでしょう、何年か前のある日。夜寢ってる時、夢で真っ白な空間にいた、そこで俺は全オタクの願望、二次元の嫁に出会えた。これはホントに…最高。あれから夜寝る時、彼女の気まぐれで夢で会えることになった。意思がはっきりしているので、これは多分明晰夢のヤツだと思う。


そして今日38歳の誕生日、何故か彼女に会えそうな予感がする。夕飯を食べ、スマホゲームの体力を消化したあと、ささっとメガネを外して早めにベッドで就寝。予想通りこの真っ白な空間に来た。それと目の前にはいつものアニメ調の木製の扉。



ゴンゴン



「どうぞ。」


聞き慣れたかわいいらしい女性の声、俺は扉を開けて、部屋に入るとクラッカーの音が聞こえました。



バーーーッ!!



「神薙雄二くん、17歳と252ヶ月のお誕生日おめでとうございます~~!」

「お!おう!ありがとう、----さん」

「何よ、嬉しくないの?」

「いえいえ、嬉しい過ぎで言葉が出なかっただけです。で俺の誕生日を祝ってくれるのですよ、これは尊い、全俺が泣いた。」

「あ~はいはい、もうツッコまないわよ。」


そこには学園アニメに出てくる、テンプレな校長室の部屋。真正面には高そうな執務用の机、机上にはノートパソコン、隣に観葉植物、左側は高そうな木製のファイル収納棚、右側はソファーと小さなテーブル……そして、一番大事なのは、ここは俺たちも含めて、ここはアニメの世界…オタクの夢!二次元の世界だ!


そして目の前にいる俺とお揃いな白いブレザー制服姿で黒髪ロング後ろに大きなリボン、真面目そうな和風美人は我が嫁であり、とあるギャルゲーのヒロイン“椿ちゃん”!!もちろん原作通り、二次元のまま、かわいい~!


----さんとはすでに何年も付き合った友人、俺の夢だから----さんも俺の妄想友人…ですよね。でも何故こんな素敵な明晰夢を見れるのかはわかりませんが、彼女に夢で出会ったあと、すぐにネットで調べた。アニメキャラが出た夢を見るのは現実逃避願望があるみたいな…うん、それあってるね。なぜ----さんの名前はこんな感じ?俺も意味がわからないよ、夢だから読めるし認識できる、でも起きると夢でのでき事や話したことも覚えてるが、彼女の名前だけは何故か覚えてないです。


「今日も尊いですね、もし和風メイド服な椿ちゃんだったらもっと最高です。」

「あら~あなたとお揃いの制服姿だから恋人みたいで良くないですか?それにあなたも知ってるでしょう、私の姿やこの部屋もあなたの心の中で望んだ姿です。だいたい椿ちゃんがゲーム内では和風メイド服を着たことないじゃないか!」

「ぐむむむむ…俺の妄想力が足りないのか、仕方ない。でも祝ってくれでホントに嬉しかったです、ありがとう。」

「宜しい。あ、ちょっと待ってね、のテスト結果を確認しますね。」

「OK、お構いなく。」


----さんは校長先生の席に座り、パソコンと格闘しました。その“ヒュウツジア”とは何だろが、正直わからない。自分の認識ではプロ版の中世惑星シミュレーションゲームみたいなゲーム?俺の夢だから、中身は9割は今流行りのラノベの異世界みたいな世界でしょうね。画面を見せてもらったことがあるが、世界地図の上に表示された資料が多すぎて全く理解できない。まあ、俺はここに来る時は基本普通の友人との食事会みたいな感じで、お互い仕事の愚痴や興味の事を話したり寛いでいるだけ、ただ彼女が忙しい時には代わりにこの部屋の掃除、時々彼女の“ヒュウツジア”についてのアトバイスや相談をします、それも含めで俺の夢ですが…。

彼女は仕事しているし、俺はいつも通り2人分のコーヒーを淹れ、彼女に渡した。


「大丈夫?あの帝国またやらかした?」

「あ、コーヒーありがとう。この2年間は珍しく大人しいですが、最近やたらに大きいな魔石を集めたり資源を集めたり、また戦争を起こす気でしょう。」

「でも直接手を出すことはできないだろう、今回も静観するしかないのか?」

「そうなんですよ、瘴気濃度値も段々上がってるし、リソースはそっちに回すで一杯一杯…そういえばこの前の提案にの先輩がOK出しましたよ、雄二くんがOKすれば、いつでもに入れるって。」

「?」


俺の“何を言ってるが全くわからないの顔文字”になった顔を見て、彼女は呆れた顔をしてパソコンから離れ、ソファーに座り、隣に座りなさいとソファーをボンボンとする。俺は嫁の隣に座り、彼女は急にテーブルの上に現れたショートケーキをすすめた。


「はい、お誕生日ケーキ。」

「おう、ありがとう、これ相変わらずどこから出たのはさっばりわからないね。」

「ってこの前に話したこともう忘れたの?」

「あ…うん…ごめん。」

「仕方ないわね、もう1ヶ月前の話しですし、許すわ。この前来た時、“ヒュウツジア”について、瘴気濃度はなかなか減らないと愚痴を言ったでしょう。あの時雄二くんが提案した自分を空気清浄機の機能をいれ、ヒュウツジアの中に入って、瘴気を吸収し浄化すると話した、これは覚えます?」

「お~あったあった、今流行りの異世界転生の聖女っぽいの話し!」

「私の世界はまだまだ若いですが、このテストの初期1回、中に人を派遣したことがあるのです。結果はあなたもわかるように、散々…いや、マイナスね。だからあれから派遣はなしの方向に進んだの。でもあの子よりあなたの方が信頼できるから、もう一回試すのも悪くないわ。」

「俺は信頼されてる、俺は信頼されてる!椿ちゃんの顔で褒められた、もう一回言って!」

「(無視)だって派遣したあの子当時16歳、あなたは倍以上の“38”歳だからよ、おまけにあなたは面倒こと嫌いだし、平穏が大好きで欲も少ない。それに任務の性質も全然違う、だから私は一応雄二くんの器を用意しましたよ。」

「おおお~!“貴方あなた様”ありがとうございます!」

「(無視二回目)ですが、あなたはいいの?家族とはもう会えないのですよ。」

「……え?」


そう、これは夢、いつもの夢。異世界転生の話は好きですが、あくまで物語上の話。彼女は急に真面目な顔で俺と話した、家族や友人、仕事の責任問題を考えると…ここは…



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その時、雄二の体は急にぼんやりしはじめた、半透明になった身体は脚からゆっくり消えてゆく。この夢から目が覚めるのはいつも部屋から出るだけだから、これはおかしい。彼女の前にいくつもの半透明なスクリーンがあわられ、明らかに異常事態で彼女も驚きました。


「ジキタリス帝国め、よくやってくれたわね!」

「え?なに?起こされる…ではないよね。」


彼女は返事もせず、ずっと何かを操作した。


「雄二くん!聞いて!ジキタリス帝国から逃げて、カウレシア王国に行きなさい!」

「え?逃げっ…」


話している途中で雄二の体が一気に消え、な空間に残されたは一心不乱に何かを操作し続けた。

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