24.結局履く

「ぎえぇぇええ、恥ずかしいっ! 蛍光オレンジのブーメラン……」

「よく似合ってるぞ、太郎」

「二人ともー、記念だよ! 写真撮ってあげる!」


 ま、まぁこれも夏の思い出か。

 俺はフー子の携帯に向かってピースした。


「あー、ちがうちがう、向かい合うの!」

「へ? 向かい合う? こうか?」


 俺がヨシトシの方を向いて、ヨシトシが俺の方を向く。


「うーん、ちょっと位置が違うかなー。もうちょっと……あっ」


 ドンッ!!


 俺の後ろに近づいてきたフー子が、思いっきり俺を押しやがった!


「うわっ」

「大丈夫か、太郎!!」

「ごめーん、手が滑っちゃった。そのままそのままー!」

「え、ちょっ……」


 バッと顔を上げると、ヨシトシの心配そうな顔。

 俺は今、ヨシトシの腕に包まれている。

 鍛えられた胸板、ゴツすぎない良質な腕の筋肉。


「あ……、な……っ」


 何してやがんだって言葉が出て来ねぇ。

 だってコイツは、真剣に俺を心配してくれている。

 そんなヨシトシを見ると、俺の顔はバカみたいに熱くなって──


 パシャッ


「うん、最高!!」

「頼むからそれ、消して!!?」

「絶対イヤ!」

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