第53話 【過去】平城SIDE 私のせいだから仕方が無い


王と王女からかなりきついお叱りを受けたわ。


クラスでは人気者って程じゃないけど、それなりに友達や仲の良い存在はいたのに……


今は私とまともに話す相手はいない。


当たり前だわ。


私は人殺しなんだから。


理人くんは確かに『強奪』のスキルを持っていた。


だけど、使っていない。


しかも、使えば相手にもその事がわかるから悪用が出来なく、敵に使えば、これ程戦力になるスキルはなかった。


止める人間も沢山いた。


『殺すのは良くないよ』


『本当に危ないスキルを持っていたとしても、軟禁して貰えばよいんだ』


そういう人間もいたのに私は『強奪』が怖くて、殺す方法を選んだ。


そんな人間、誰も仲良くしたく無いのは当たり前だわ。


そして、それは勇者パーティとして旅を続けている今も続いている。


◆◆◆


野営中もそうだ。


「ほらよ、平城! これを洗って置けよ!」


「なんで、私が……」


「平城さん。こんな事を言いたくないが、あんたが、本来なら世話を焼いてくれる理人を殺させたからなんだ。その責任はとってくれよ!」


「そうよ、本来ならこれは理人がする仕事だったんだからね!」


「言いたくはないけど、料理は不味いし、手際も悪い。それでも我慢してあげているんだよ?」


大河くんも勇者の大樹くんも塔子さんも聖人くんも皆が冷たい。


だけど、反論なんか出来ない。


「なんだぁ! 平城、その目は! 本来なら家事スキルを理人に奪わせてよぉ。コック並みの料理を味わいながら、執事やメイド並みの家事の中で旅をする筈だったんだぜ! それをどこぞの馬鹿が殺させちまうから、こんな下らねー旅になっているんだ? 家事位全部やってもバチはあたらねーだろが!」


「でも、全部は……きつい……」


「あのなぁ、本来なら2~3年位で終わる魔王討伐の旅が、お前のせいで10年計画なんだぜ! 全部、お前のせいだ! お前が理人に手を出さなければ、大樹は聖剣が使えた。塔子は聖魔法がつかえて回復に苦労しねー。そして俺は斬鉄で無双していた。どうしてくれるんだ? 人殺し野郎が」


「そんな……あれは皆も賛成してくれて……」


「君が俺達を騙したからだろう?」


「そうよ! 理人くんが『皆を陥いれようとしている』なんて嘘ついたからからじゃない? あんたが騙すからでしょう?」


「そうね……解ったわ」


何を言っても無駄。


私は同級生を殺して、勇者パーティを窮地に追いやった罪人。


彼等が大切なスキルを無くしたのは私のせいだ。


だったら……この位の罵倒や仕打ち……受けて当たり前だわ。


「なんだーー! その反抗的な目は」


「ごめんなさい」


私は謝り、洗濯物を手に取った。


私のせいなんだから仕方が無い。

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