3.愛が欲しい
夜の繁華街には様々なネオンが光る。派手な色の電球や看板が身勝手に光る様は、まるでぶちまけたビーズを掃いて集めたように規則性がなく騒々しい。
酔っぱらったおっさんたちが客を求める飲み屋の女の子に声をかけられ、ぼったくられるために連れられて行く。その女の子たちも、身体をはって稼いだ金を口八丁で中身の無い男達が集められたホストクラブへ突っ込むのだ。
あぶく銭で懐を膨らませたホスト達は、まともな金の使い方を学ばず裏カジノで金をまきあげられクスリに溺れ高い酒をぶちまける。こうして夜の世界に飲まれながら生き残った僅かな上澄みは、権力や得るため、見栄を張るために散在し、結局は散っていく。
そんな食物連鎖的な街には必ずある暗部、そこからも爪弾きにされるような人間も少なくない数存在する。今や一大勢力とも言える、スマホのマッチングアプリを使った野良売春婦たちもその一種である。
多数は金のため、生きるために体を売り、少しでも多くの金を得たいがために店舗や組織に属すことを嫌うのだ。だが中には人肌を求めて渡り歩く女がごく少数存在している。
コスプレなのか本物なのかわからないが、へそが見えそうな上着と下着が覗く程度に短すぎるスカートのセーラー服を来た
彼女は誘われるがままに男とホテルへ行き、一晩の営みのあとまた去っていく。自分にはきっと運命の相手がいるのだと夢のようなことを口ずさむこともあるが、それはあくまで言い訳で、とにかく毎日人肌を求めていた。
「ねえ、みちみち、金払いのいい客いたら回してくれない?
あーしったら今月ピンチなのよ。
そんかわりにコレ分けてあげるからさ」
「えー、ウチは感度いいからそんなのいらないよ。
そう言えば、ついこないだ遊んでくれたオジサン良かったよ。
すっごく早くて楽だったのにさ、ちっちゃくてかわいいねって咥えたらさぁ。
なんかやけに喜んじゃって追加置いてってくれたの。
またねって言ってたけど、バーコードがキモかったから二度目は無いかな」
「そかー、あーしもバーコードはカンベンかなぁ。
でも一回だけなら我慢していいかも、早いのも魅力だし」
「麻美ちゃんは相変わらずホスト行ってるの?
ウチは興味ないけど好きな子多いもんね」
「なんつーかさ、わかってくれるっていうの?
さびしいのとかオトコほしいとかとはまた違うってトコわあーってくれんのよ。
帰りにハグしてもらうとまた行きたいって思っちゃう」
「そんなもんなんだねぇ。
入れてくれるお店があんまないからもうどうでもいいけどぉ。
やっぱり会ってすぐホテル行くのが面倒無くてウチはいいかな。
説教してくるオジサンとか笑えていやされるでしょ」
「それな! お前未成年とヤリながらなに言っちゃってんだって感じ?
あーしはちゃんとアド取ってあっからパクられた時ばれちゃうんだろうなぁ。
そーゆーとこまでみれたらもっと楽しいのにー」
「アヤが挙げられた時にさ、それまで何回も来てた人いなくなったりしたなぁ。
なにげにお客減って迷惑だから麻美ちゃんは気を付けてよね?
ウチは終わったら全部消してるんだよ?」
「へーマジメだねぇ。
あーしはもうすぐ十八だからダイジョブだよ。
成人年齢下げるとかマジ笑ったけど、大人扱いだと安く見られてメイワクぅ」
「そっかぁ、そうゆーのもあるんだ。
ウチはまだ先だからピンと来ないけどさ。
あっ、あそこにさっき言ったバーコードいるよ、呼んでこよっか?」
「じゃあ一緒に行っていい?
これで彼に会いに行けるー」
「ウチは別の人から連絡来てるからその後行っちゃうからね。
ちゃんと小さいのカワイイって褒めてあげなきゃダメだよ」
「うんうんーわあってるー」
こうしてこの日も少女たちはキャッキャウフフと騒ぎながら、安普請で汚いホテルが立ち並ぶ繁華街の裏通りへと消えて行った。
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