第41話
「ん……ねむ……」
廣谷はベッドの中でもぞもぞと動きながらスマホの電源を入れる。そしてスマホの通知欄をぼーっと見てから「は?」と勢いよく起き上がった。
「なんっ……なんだ?」
スマホの通知には廣谷の安否を確認するコメントが大量に届いており、廣谷は訳が分からなくなった。何故、こんなに心配のコメントが届いているんだ? と廣谷は訳が分からず、タイツクを開く。
タイツクを開くと話題のニュースが流れてきた。そこに書かれていたのは『突如怪我を負った人が続出』というニュースだった。そこには昨日廣谷が寝ている時に起きた様子がニュースとして流れていた。
「怪我、いや、まさかな……?」
廣谷は怪我の話題を検索して詳しい情報を探し始める。自分が昨日痛い目を見ればいいと思ったやつらに向けた、怪我を負わせるという宣言。それが最悪な結果でもたらされたのではないか。と廣谷は焦る気持ちを抑えつつ一つ一つ詳しい情報を見ていく。
そして検索して情報を集めた結果、廣谷はこの怪我の原因が自分が起こした事じゃないのか。という気持ちが強くなった。怪我が起き始めたタイミングが、廣谷が寝た後だからだった。それ以前にこの騒ぎが起きていたなら自分は関係ない。と済ませたのに、自分が能力を発動した後になったから、関係ないとは言い切れない……! と廣谷は頭を抱えた。
「どうする、これ犯罪起こしたって事になるんじゃないか……傷を負わせてしまった。まさかそういう怪我の負い方をするとは思わないだろ、ああ、もっと細かく考えて宣言しておけばよかった!」
あああ……とその場で蹲り、自分がとんでもない事をしてしまった事に後悔した。怪我を負わせる事についてはどうでもよかったが、こんな大事になるとは思ってもいなかったからだった。
廣谷の考えていた事は、ダンジョン内で傷を負いやすくなったり、日常生活で紙で指を切ったり、転んだりの些細な事しか考えていなかった。だがまさかいきなり怪我を負うとは思わず、廣谷は今後どうすれば……と呟いた。
「わんっ」
『廣谷、どうしたの?』
「……シロぉ」
廣谷はシロを抱きしめ、今後どうしようか考え始めた。
能力は能力検査で政府に知られてる、でも詳しい事までは調べられてないはず……大丈夫、大丈夫だよな……? と廣谷は焦る気持ちを落ち着かせるようにシロを抱きしめた。
「なんでこんな事になるんだ、僕は、平穏が欲しかっただけなのに」
「くぅん?」
『廣谷?』
自分の思い描いた通りにならない事に廣谷は悲しみを覚えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます