一人が好きなダンジョン探索者、強敵モンスターを倒した場面が配信に映ってしまいバズってしまったので、ダンジョンで暮らします
蒼本栗谷
第一章 普通のエリア
第1話
「『宣言。君は動きが鈍くなる』」
ウルフにそう宣言するは、ハーフアップにしている青髪金目の青年
廣谷は能力『宣言』を使った。
先程まで速かったウルフの動きは鈍くなった。
宣言してからの後の事は絶対に起きる能力。廣谷はそれを駆使し、一人でダンジョン探索に来ていた。
数年前、地下ダンジョンと能力が現れた。それは世間を大いに賑やかにした。
能力は必ず一つは発現する。だが能力内容までは決める事はできず、有利な能力と不利な能力の差が出来た。
そしてダンジョンに潜るものは自己責任で。そう決められた事で、ダンジョン配信を始める者が現れ始めた。
それはダンジョンに興味があるもの、訳有りで潜れないもの、探索の参考にしたいものと需要を与えた。
そうして現在までダンジョン配信者は増えて今では人気ジャンルとして確立していた。
そして更にモンスターを倒すと小銭が落ちて、しかもそれが日常生活で使える事が判明し、金稼ぎとしてもダンジョンに潜るものは跡を絶たなかった。
廣谷はダンジョン配信者の事は知っており、数年前まで沢山の配信を見て探索の術を学んでいた。
そして20歳の時、廣谷はダンジョンに潜った。
初めて買った刀と初めて使う能力を使いモンスターを倒した時、歓喜の喜びを感じた。
元々一人を好む廣谷は一人の時間ができる、金稼ぎが出来るからという一石二鳥の考えで一人でダンジョンに探索しに来ていた。
「よっと」
ウルフを切り捨てた廣谷はウルフが溶けた後に出てきた小銭を拾う。
「『宣言。小銭はカードになる。破れば具現化』」
そう宣言すると小銭は一枚のカードになった。カードには小銭の写真、名前、そして枚数が書かれていた。
それを腰につけているカードケースに入れる。
「もう少し先に進むか。時間はまだある」
スマホで時間を確認してからダンジョンの奥に進んだ。
出てくるモンスターを切り捨ては小銭を拾いカードにして仕舞う。それを繰り返していると広間に出た。
それと同時に天井から降ってくる巨大な蜘蛛。
「ボス部屋とうたーつ。『宣言。君は僕を認識できない』。さっさと倒そうか」
宣言すると蜘蛛は廣谷の姿が見えなくなったように辺りを見渡した。
廣谷は刀を構えまた宣言した。
「『宣言。この刀に斬られたものは体を蝕まれる』」
そう言い蜘蛛に走っていく。蜘蛛は混乱しながらも廣谷を探すために触ると火傷をする糸を辺り一帯に撒き散らす。
廣谷はそれを躱し、斬り、蜘蛛の近くまで近づくと刀を振って蜘蛛を斬りつけた。
斬りつけ、刀を鞘に戻すと蜘蛛はその場に倒れた。そしてジワジワと傷口が蝕まれていき、血と思わしき黒い液体を流していく。
そうして体全体まで蝕まれると蜘蛛は溶け、その場には大量の小銭のみが残されていた。
「大量大量。これを全部カード化して……ん?」
小銭に近付こうとすると来た道から一人の探索者を見つけた。
探索者は唖然とした様子でカメラを持っていた。
「……『宣言。君は僕を認識できない』」
廣谷は眉間に皺を寄せ、大量の小銭をカード化してから探索者に向かって宣言する。
「えっ、え?! 消えた!?」
探索者が廣谷を認識できなくなったのを確認してから廣谷はその隣を通り抜けその場から離れた。
「カメラ……配信者か? 面倒な事にならなければいいが……」
ちらりと先程の探索者がいた方向を見てから廣谷はダンジョンから出た。
「『宣言。小銭カード、全て一枚のカードに収まる』」
家に帰ってから廣谷は小銭カードを全てを一枚にした。
「便利な能力でよかった。一人で探索出来るのは大きい」
そう呟いてから小銭カードをケースに入れてから廣谷は眠りについた。
廣谷が眠りについてる間、ダンジョン内で廣谷が強敵モンスターと呼ばれるモンスターを軽々倒していた姿が探索者の配信に映り、それは物凄い勢いで拡散されていた。
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