第2話

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「........う...ぐぅうう.....」


猛烈な頭痛と朝勃ちによって衣服といちもつが擦れる痛みで俺は目を覚ました。


頭を抑えながら付近を見渡すと、霧がぼんやりと辺りに充満しており、肌寒い感覚に包まれる。


しばらく経つと、太陽のような光が東から差し込み霧が少しずつ晴れていった。どうやらこの世界は俺の前いた世界と似たような環境にあるのかもしれない。


霧が晴れていくにつれ、俺の目の前には現世では見たこともないほど巨大な大木が立っていることに気付いた。それも一本だけではなく、俺の周りにずっと何本も何本も立ち並んでいる。


「たまげたな、こりゃ.....」



大木の上部には枝が生え葉っぱが生い茂っている、ここら辺も、現世の木とあまり変わらないように見えるが、現世と大きく違う点。でかさが半端ない。


大木を見上げると木々の間から多少なりとも空が見えそうなものだが、霧と葉っぱに遮られているせいだろうか、どこまでいっても幹が伸びており、終わりが見えない。


「さすが異世界、スケールが違うな..............ってか俺、こっちに来てからどうすれば良いのか聞いてないんだけど....」



審判官からここでの言語の習得と、能力を与えたみたいな話は聞いたが転生してからの流れは全く聞かされていなかったことを思いだし戦慄した。


(え、まずこの森脱出出来なくて飢え死にとかそういうオチ?それ以前にここで魔物と出くわしでもしたらどうすんのこれ?戦いかたも教わってないんだけどぉ!)



そんなことを考え頭を抱えていたが、突如下半身に電撃が走った。



(まずい...こんな状況下だってのに、この下半身にくる本能的なムラつきは...!)


即座にズボンを脱ぎ、下半身を露出し、そのままの勢いで激しくいちもつを擦りあげる。


(クソ!!日課だったからか身体に染みついちまってる!!)


俺の1日のルーティンワーク。1日の決められたタイミングで必ず自慰行為を行うこと。


朝起きて、朝食後、昼食後、風呂場で、寝る前にとどめの一回。


これを生前、繰り返し続けること10年。身体には自慰行為の生活リズムが刻まれていた。身体は、その生活リズムに沿って目覚ましのように身体に自慰行為の時間を知らせてくるのだ。


「ぐ....ああぁぁぁ...」


程なくして果てる。俺のいちもつは日々変化する生活のあらゆるイベントに対応して自慰行為の時間を作らねばならないため、短い時間で射精に至ることが出来る他、オカズなど無くてもイくことができた。


すると、射精の快楽が電撃のように全身を駆け巡った瞬間、目の前が白く染まると同時に轟音が響いた。目の前の大木に落雷したようだ。


ズガァ”ア”アンンッと巨大な音を立て哀れにも雷が直撃した大木は大きく縦に裂かれた。



「うわぁあああああああああッッッ!」


元よりビビり体質であった俺は射精後という無防備なタイミングでの爆音ということもあり、慌てて逃げだした。


しかし、脱ぎかけのズボンに足を取られ真正面からすっ転んだ。


ボキッッ




「ッッ!!ぐぁああああッッ......!!」



瞬間、脳内に走る快楽とは全く異なる耐え難い痛み。恐る恐る下半身に目をやると先ほどまでいきり立っていた男根があらぬ方向を向いている。


「いっでえええ"ええ"え"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あッッッ」


激痛で叫んだ。今までの人生で感じたことの無いほどの痛み。俺の男根は転んだ衝撃で完全に折れていた。


ザッザッザッ


「いでぇよぉお"お"お"お"お"お"お"、はぁぁっ、誰かぁ誰か来てくれぇっじっじぬぅ"う"う"う"っっっ」



俺は、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で助けを求めた。気がつくと、自分の身体からぼんやりとした淡い光が溢れ、空へと昇っていっている。心なしか身体が透けている気もする。


(あぁ...俺、死ぬのか.....)


そのまま激痛に悶えながらも、暗くなっていく視界の中必死に意識を保っていたが、抗いがたい眠気に徐々に瞼が落ちてゆき、そのまま目を閉じようとした時―――――――――――――――――――


大木の間から人影が現れた。


「やはりここにいましたか、異世界からまた勇者様が現れるというお告げがあったのでお告げの日時に召還の森へ来たわけだけど...森のどこへ現れるか分からないのでいつも探すのに苦労するんですよね。今回は能力を行使してくれたし、変な声でわめいてくれたので直ぐに見つかり......ってえぇっ何事!?」



現れたのは、黒い艶やかな髪を持つ少女。年は15程だろうか。いちもつがへし折れ死にかけている俺を見つけると慌てて駆け寄ってきて手に触れられた。


「あぁ、脈がどんどんと弱くなってます...!この辺には聖結界があるため魔物や猛獣も立ち入れないはずなのにどうして!いや...喋れないですよね喋らなくていいです。とにかく死んだら困るので助けます!」



女の子は、直ぐに俺をおぶろうとしたが折れた男根が悲鳴をあげる。



「ぐぁああああああぁあああッッッッ」



落ちかけていた意識が猛烈な痛みで再度呼び起こされる。しかし、俺を包む光もより濃くなりいよいよ身体が透け始める。


「え、ごめんなさい!どこか痛めていたんですか?教えてください私一応回復魔法も使えるので....」


「...い.....つ」「え....何ですか!?すみませんもっとはっきり言ってください!」

「い.....ち...つ!」 「いちつ??すみません、そっちの世界だと身体の部位の呼び方が違うのかもしれなくて....患部を指差しながら言ってくれませんか?」


「ぢ...........ん"こ"!」と同時に俺は股間を指差しながら必死に訴える。


「ちん....こ?」少女は目を丸くしたあとに意味を理解し、顔を背けた。



「え...おちんちんを怪我してるんですか.....それで死にかけてると....ま、まぁ!男の子にとっては重要な部分ですもんね!ごめんなさい直ぐ治します!

【ヒール!!】


パァっと少女の手から緑色の光が溢れ、俺の股間を包み込む、すると先ほどまでの激痛が和らいでいき、少し楽になった。と同時に、身体から溢れ出る光も薄れていき空に昇っていく光りも止まった。


「....あと何回か魔法をかけ、ズボンを穿ける程度にまで回復したら町医者へ連れていきます!私のは対処療法でしかないですが、死にかけの状態よりかはまだましだと思いますが...どうですか?」


「あっ.......あ"ぁ"あ"......君"は"命の"恩"人"だ.....あ"り"がと"う"....!」



俺は涙ながらに少女に感謝した。丸出しのいちもつを見られた羞恥心よりも生死の狭間から生還を果たしたことに対する少女への感謝の気持ちが大きかった。


「ごの"恩は"一"生"忘"れ"ま"せ"ん"!」


「いえいえ、そんなに感謝しなくても大丈夫ですよ...!私達のためにこちらの世界へ来てくれたんですから。あ、それよりそっちの世界について聞かせてくれませんか?私、タピオカ?っての前の召還者の方から聞いて気になってたんですよ!つぶつぶした黒い豆みたいなのが入ってるんですよね?それで....」


とそんな感じで、現世の時の話をしながら少女に回復魔法をかけてもらいズボンを穿ける程度にまで回復する頃には俺たちはすっかり仲良くなっていた。










































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