かかってこい【短編集】

フィステリアタナカ

私とサングラスの彼。

 私はハルカ。今年、高校を卒業したばかりのピチピチJKだ。


「♪♪♪♪♪♪♪」


 大好きな歌を聞きながら、目の前にある風景を見ていく。


(あっ! 子猫が轢かれる。ヤバイ!)


 そう思い、私はアクセルを踏み、自転車を吹っ飛ばした。


(良かったぁ。子猫が無事で)


 ボンネットがひしゃげたが尊い命が救われた。


 桜の木が傾き、木の根が良くみえた。子猫に花びらが付き、カワイイと思った。


ウーーィーーーン。


 バイクがやってきて、ヘルメットにサングラスをかけた男がこちらに来た。


 ピーンと来た。あのサングラスの下には優しい目をしたイケメンがいることを。


「君、ちょっと来てくれないか」


 イケボだ。イケメンにイケボなんて。運命を感じる。


「免許証を見せてくれ」


(免許証? あぁ、マイナンバーカードか)


 私は彼にマイナンバーカードを渡す。


 彼は落ち着いた声で私に言った。


「署まで同行を願う」


 バイクに乗り、彼の逞しい体に触れる。


(ホテルに行くのかな?)


 20分ほど走って、素敵な建物に着いた。

 何とか安全週間とか書かれていたが、安全日の子が集まっているのだろう。


(いやだぁ。恥ずかしい……はじめてをイケメンに捧げるなんて)


 部屋に通され、彼はやさしくこう言う。


「やつれているな。飯食ってないだろ。何か食べるか?」


(奢ってくれるなんて、最高☆)


「えーっと、イタリアンピザにマシュマロとチョコレートをトッピングで☆」


「わかった。聞いてみる」


 彼は部屋から出ていき、しばらくすると戻ってきた。


「マシュマロとチョコレートのトッピングがないから、チーズにした」


 それから部屋で30分ほど待つとピザが届き、私はそれを口にする。


「美味しい!!」


 彼のセンスは飛び抜けている。


「担当が来るまで、こちらの部屋で待ってくれ」


 私は彼の後に続いて、檻の中に入る。


(はじめてがSMなんてハードル高すぎ!)


 夕日が差し込み。ロマンティックな空間に酔いしれる。

 そして、夜を越えて、素敵な朝を迎える 


(ムフフ)

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