第13話元鬼神衆

 9時もすぎ、そんなに早くない時間に六条家に皆さんが集合している。

 

 家だけは名家並みに古いから庭みたいな部分もかなり広々としているとはいえ、集会所みたいな扱い方されてるなぁなんて考えながら。 

 

 高級車っぽい綺麗な真っ黒い車が数台はいってくる。 

 

 御三家のお屋敷、もとい土地はここからそう遠くないらしく、目隠しなんかも必要ないとの事だった。 

 

 こっから先は御三家の土地となります。 

 

 なんて聞きなれない言葉をぼーっと聞き流しながらも車は先に進む。 


 そうすると源一郎が口を開いた。 

 

 「こいつはまた厄介な事になってるなぁ、セバス、話は通して置いたはずじゃないのか?」 

 

 「ええ、説明されているはずですが」 

 

 「かこまれてやがるなぁ」 

 

 「この先に広場がありますから、そこで止まります」 

 

 車が止まり、降りると、集団が姿を現す。 

 

 腕、手、足、がない者は当たり前、体がひしゃげている者、皮膚が剥ぎ取られている者なども多く、眼が、耳がなんてのも当たり前そんな集団だった。 

 

 「こんな姿でも我らは元鬼神衆、除隊して、それなりにいい職場に送られた事も感謝しています。ですが、子供の治癒実験に我らを招集した。事実ですかセバスさん?」 

 

 「子供の治癒実験っていうのは、聞き捨てなりませんね。六条一輝の治癒実績は」 

 

 「エルドラド家の娘を治して?毘沙門と風林火山の探索者欠損者を大量に治療、へっにわかには信じられませんね。六条といやぁ、製薬でも有名だ。脱落した俺らなんて集めて今度はモルモットにでもするつもりですかい?」 

 

 「お前たちの気持ちがわからないでもない、例え義手、義足、義眼になろうとも鬼神衆として戦い国に尽くしたい。それが叶わなくとも他部隊にって気持ちもあっただろう。その気持ちを押さえつけ野に下らせた御三家の判断には、私も思う所があるが、御屋形様方もまだ幼い、傷ついた多くのお前たちを見た衝撃はあまりに大きかったのだ」 

 

 「だからって今更一般人にはもどれませんや。こちとら動乱期の日本を守ってたんだ。聖堂教会、超人部隊、仏滅部隊、十二天、十悪、天魔神教に血教、魔神に邪神、どれだけ・・・・どれだけ戦ってきたと思ってんだ。傷者になったらはいそれまでじゃあ納得もいかねぇ。もちろん俺達の事を思ってだって事はわかってるさ、それでも俺達は最後まで部隊に、国に、御三家に仕えたかった!!!」 

 

 「狂一、その体で尚己を鍛え抜いたか」

 

 「老いてますますって言うだろ?俺たちは、こんな体になっちまったらなちまったで、それはそれで修練は出来るし、見えて来る境地ってもんもある。二代目英雄がいる用に二代目にも反英雄ってもんも存在していてよぅ。俺もその一人、「鬼の神」のなりそこない、二代目両面宿儺って称号を受け取っちまった。」 

 

 「両面宿儺、かつて朝廷に弓引いた豪族で鬼と称えられた化身か」 

 

 「こうなっちまったら争いは避けられんじゃないですかい?鬼神衆十王の一人、冥王セバス・バルバドス」 

 

 「御三家に弓引くつもりか」 

 

 「ざけんじゃねぇ!御三家が俺達を捨てたんだ!!用済みだから!傷者だから!お前らが俺達を捨てたんだ!俺たちを見ろ!!!やれた!十分やれた!今でも戦えた!それをお前らが捨てたんだ!壊れちまったら入れ替えればいい機械みたいに!お前らが俺達を捨てたんだよおおおおおおおおおお!!!」 

 

 突風が吹き、大地は揺れ、大気が揺れる。 

 

 「我々の争いに巻き込んでしまって申し訳ありませんが、彼らを粛清しなければいけないようですなぁ」 

 

 二人の間に入り込めない程、闘気がぶつかり合い、周りに衝撃破を飛ばしていく。 

 

 俺はいけないと思って、思い切って二人の間に割って入った。 

 

 「すいません!」 

 

 「あん?なんだ?お前が六条のガキか?聞いてた話より随分痩せた様だが」 

 

 「一輝様、ここまで敵対意識を持たれている以上、御三家の為に彼を粛清しなければいけません」 


 「一旦落ち着きましょう。俺は御三家の命令で狂一さん?宿儺さん?達を治療する様にいわれてきたんです。見ればってまだまだ陰に潜んでいる人も多いでしょうが、きっとみなさん五体満足ではないんでしょ?」 

 

 「それがどうした!?」 

 

 「万が一にも戻りたくはないんですか?義手も義足もいらなかった元の体に、義眼なんて必要ない体に!傷つきながらも修練を続けて境地まで見た貴方達なら、五体満足になったら更に強くなっちゃうんじゃないですか?試すだけ試してみるのはいかがと!?」 

 

 「いいのか?治療に成功して更に強くなっちまっても、俺は戦いを辞める気ないといったら、お前らはどつぼにはまるぜ」 

 

 「もし戦うのであれば、できれば次の機会にしてください。俺とかゲストの謙信さんと信玄さんがいないときとか!俺たちまで巻き込まれるのは御免なんです」 

 

 「おらぁやってもかまわねぇよ」 

 

 「私もです。むしろどこまでいけるか試したくて、調子がずっといいですから」 

 

 二人はもうだまっててくれや!!! 

 

 「とにかく、セバスさんには悪いけど鬼神衆の問題なんでしょ?それにまきこまれるのは正直きついっすよ。それに過酷な制度と世界とはいえ心情的には狂一さん達が不憫っす」 

 

 「ちっガキに同情されるとはな」 

 

 「まぁ何はともあれ、治療を試してみましょう。なに悪い様にはしませんから」 

 

 こうして戦闘は避けられ、治療を始める事になる

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