異世界現代、ダンジョンがある世界に転生した

第1話六条一輝としての転生

　素手による殺人、空手で言う貫き手や手刀を獣相手に一撃で絶命させるまで鍛えた。　

　熊や猪の毛や皮は厚い、脂肪もある、それらを貫き内臓まで達する程修練を続け、短刀、刀、槍、縄、紐、糸、火薬、投擲、それらだけで2メートル級の熊を素早く絶命させるまで鍛えた。　

　違法に手に入れた銃の扱い、そして向けられた時の対処、射線のかわし方、致命傷以外の応急処置、動物の解体と同時に、臓器の切除、縫合、血管の縫合などもやった。　

　粛清するべき獲物を独断と偏見で裁き、殺害してきた。　

　そんな俺は死んで地獄に落ちた。　

　地獄でも極卒、鬼を相手に殺し合いの日々、生前は手に入らなかった不思議な力を感じ、鍛え、仙医術まで習得した。　

　じじぃに姿を変えられても、虫や獣に変化させられても、岩に封じ込められても、闘争に繋がる何かを習得し続けた。　

　天界一の暴れ猿に、何度も何度も何度も何度も何度も何度も戦いを挑み、戦いたくないと言わせる程挑み戦った。　

　あまりにも闘争の色が強い俺を、天帝は怒り、また人間の世界で一から反省する様にと地上に堕とした。　

　ハッと目が覚めると、ベットの上、体中が痛く、また重りでもついているかのように動きが鈍い。　

　随分と広い部屋だが？病院の様な無機質な感じではなく？誰かの部屋といった印象だが？　

　体の痛みに耐えながら周囲を確認していると、鏡が目に入る。　

　そこに写った自分の体に驚愕した！　

　えぐいほどデブだ！なんだこれは！！日本人のサイズのデブではなく、世界レベルのデブじゃないか！！！　

　腹回りや顔などに肉がつくのはわかる。　

　問題は手足までぶよぶよなのである！普通太るにしても段階的に腹、胸、顔、ときて最後に行き場のなくなったエネルギーを手足に蓄える様に太るが、まさに最終段階、手足をみて肥満のそれも凄いレベルでの肥満がわかる程に太っている。　

　どおりで鍛えていたはずの俺が体が重いなんて感じる訳だ。　

　顔の美醜はわからないけど、不細工ではないのがわかり、肉で醜くなっているのが顔立ちでわかるのが逆に気持ち悪い。　

　年齢は？１５歳？中学三年？太るのも才能とは言うが、よくここまで太ったもんだ。　

　１５歳までの記憶が蘇り、混ざり合い始める。　

　そうか、俺はこの肉体に憑依したとかそんなんじゃなく、今まで記憶を封印されていたのか、一つの人間に昇華する様に記憶が少しずつ追加される。　

　六条一輝、六条家の長男で商家であり、八幡太郎の祖にもつ村上源氏１０家の一つであり、父に六条瞬、母に六条愛、妹に六条千早という家族構成、性格は美味いものに目がなく、デブの癖に正義感を振るい、またその為には金をつかっても構わないと思っていて、その為に周りからは歪んだ正義を振りかざす人間と思われているが、本人曰く、金で事が済むなら金で解決すればいいと両親が金持ちな為、こうした金銭感覚が歪んでしまった模様、よく金を出せと暴力を振るわれるが、カツアゲには屈しないなど矛盾が見える。　

　虐めの標的にでもされているかと思ったが、そうでもないらしい、他の源氏に繋がる家の者からは、下等で愚鈍なデブと思われていたり、同じ源の名を汚すと思われていて、会うたびに理不尽な暴力を振るわれる事もあるが、毎日ねちねち虐められているといった訳でもなく、また一部の生徒からは評判もいい。　

　金がないといっている生徒には、気が向けば金を振舞い、たかられたり利用されたりと感じると一銭も出さないと言う、本当に困っている人間を妙な嗅覚で嗅ぎ分け施す人間性で、しっかりと返す意思をもった人間にしか施さない、返すしっかりとした意思をみたあと、その金は結局受け取らないと言う、要は人の善意がみたいと思われる行動をする人間である。　

　都合よくかえってくる事ばかりではないが、本人はそれでもいいと思って、金を困っている人に限定的に気まぐれに配る様だ。　

　それ故にあいつには金をやって、俺にはくれなかったなどの逆恨みによって襲撃される事も少なくない。　

　・・・・・・・・・・・・・・　

　つまり返す意思のある善意ある貧乏人には金を惜しみなく貸し、返済もちゃらにするが、そうじゃない人間には一銭も出さないと、そういう事か？読みずらい性格だ。　

　何よりこの体は良くない、動くにもコツがいる状態だ。　

　部屋のドアがガチャっと開いた。　

　「ぼっちゃま！おきられたのですね！！酷い怪我だったのですが、お腹のお肉に今回ばかりは感謝ですね。クッションになって致命傷にはならなかったと医者はいっていました」　

　この人は八瀬道地さん、子供の頃から俺の護衛兼執事をしているが、六条家は腐っても武門の一族、異能者や武芸者などの上位闘技者などや誘拐などしてくる人間からはまもってくれるが、学生同士やレベルの低いチンピラからは自分自身で身を守らなきゃいけない為、流石に殺されそうな程の暴力を振られた時は守ってくれるが、それ以外は基本手を出さない、父と母は道地さんのその方針に酷く反発したが、お爺様や他の源家からもあまり軟弱すぎるのは恥になるといわれ、今の状態で落ち着いている。　

　悔しかったら強くなれ！！！　

　そして記憶が戻る前の、俺も決して努力しなかったわけじゃないが、結果がともわなず、ガタイだけはそこそこいい、今のデブ状態に陥ってる。　

　車も使わず、歩いたり、運動したりしているのに、食えば食う程太っていく、かといって食べずに食事制限しても何故か体重が落ちない地獄の体に、食事制限も辞め、思うがままに食べる様になった。　

　それもそのはず、体の経脈が潰れ千切れている。　

　超人体質の一つ、食えば食うだけ力や気、魔力を貯め続けるという特異体質である。　

　本来だったら、質の悪い魔力に気力などは体外に排出されたり、汗や燃焼されるはずなのだが、そんな汚泥も一緒に蓄積されている。　

　痩せる為には、運動しながらこの汚泥を体外に排出しなくてはならない。　

　「道地さん、俺痩せる為にプールで運動したいと思うんだけど」　

　「！！！まことですか！もう挑戦するのは嫌だと、あれだけ悔しがられていたから、私はぼっちゃまは諦めてしまったのかと思いましたが･･････旦那様と奥様に報告後、急ぎ準備いたします。今しばらくお休みください」　

　そういうと、素早く部屋からでていってしまった。　

　傷ついた体を同時に癒す為にも、水中での運動と経脈の活性化に挑む。