BL書籍の印税で娘の振り袖買うつもりが無理だった話【取らぬ狸の皮算用】

月歌

第1話取らぬ狸の皮算用

◆◆◆◆◆


赤ん坊は成長してハイハイして、気がつくと独り歩きしてる。娘が幼稚園に入る頃、息子は抱っこの時期。腰を痛めながら丘の上の幼稚園に3人で歩いて通園。


幼稚園のイベントと役員をこなしながら、娘と息子が順番に幼稚園を卒業。


幼稚園を卒園したら小学校が待っている。ぴかぴかランドセルを背負って一人で登校する娘。でも、下校時はさみしくて泣き出す娘を途中までお迎え。


息子も入学すると娘はお姉ちゃんに成長。息子と娘が一緒に帰ってくるようになる。


小学校高学年になると息子も娘も下校はバラバラに。それぞれが友達の家に直行して下校時間が遅くなることも。仕方がないので防犯携帯を持たせて、遅くなる時は連絡するように約束。


陰キャの母はママ友さんと世間話などして、子供にお菓子など持たせてみる。役員は一度きりで頼むと祈りつつ、六年間を過ごして子供たちが順番に小学校を卒業。


中学生になると一気に子供達が親の手を離れていく。それを寂しく思う間もなく、高校受験に突入。


どうする、どうする?


親の心配をよそに、それぞれ志望校を決めて受験。トップ校ではないけれど、合格したから全て良し。娘はさらに大学受験を経験して大学生に。


現在、高校生の息子と大学生の娘がいる。


何かとお金がかかる時期。一馬力の夫に感謝しつつ、臨時収入や副収入が切実に欲しい時期。


この頃の私は‥‥‥。


2023年3月。

BL書籍で作家デビュー。

初出版にドキドキの連続。落ち着かない毎日を過ごす。


重版??

いえ、重版などという奇跡は起こりません。BL大賞奨励賞での出版なので、人生のラッキーを使い果たした可能性あり。


それでも、人は期待するもの。


【取らぬ狸の皮算用】


自著の印税で娘の成人式の準備をすすめるつもりでした。


娘の成人式に振り袖を着せてあげたい。本人も着たいと望んでる。郵便ポストには続々と、成人式のオススメ振り袖のダイレクトメールが届く。キラキラの振り袖を見ながらふふふと笑う。


大丈夫、私には印税がある。

振り袖レンタルでも購入でも思いのまま。

そう思っていました。


出版から半年後、販売実数と印税がアルファポリスのマイページ欄に表示される。


うむ。取らぬ狸の皮算用でした‥‥‥。


‥‥‥娘よ。

ママ振り袖で成人式に臨みませんか?




◆◆◆◆◆◆


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る