プロローグ……空から女の子が降ってきた。……
このシチュエーションをただ聞いただけだと、マニアじゃなくても某□リコン髭野郎事パヤオの例のアレを思い浮かべる人も居るであろう……。若しくは最近……といっても原作は17年弱前、アニメですら14年半前の長い棒的なアニメ会社の漢字三文字の代表作の冒頭、螺旋階段から降ってきたツンドロヒロインを思い浮かべるかもしれない。
片田舎の夕暮れの河川敷、堤防の上に自転車を留め、土手の芝生に寝転がり、一人玉砕した告白の痛みを癒す僕……近間に高層ビルは勿論、高い木々などもない。夕日の朱で見え難いとはいえ空には雲一つなく、航空機も気球も飛んでいる様子はない。
その上に彼女は「降ってきた」。
仮に落ちてきた女の子が、僕が振られた相手……綾乃ちゃんだと仮定する。彼女はショートヘアーで小柄で、ちょっと釣り目な所がまるで子猫の様に可愛い。勉強も運動もそこそこ、明るく活発、クラスの中心人物ではないがいわゆる陽キャ集団の一人だ。
彼女と偶々席が隣同士になり、偶々落ちた消しゴムを拾って貰った……そんなベタなシチュエーションで舞い上がり、四六時中彼女の事が気になって仕方なくなるほど純粋な……悪く言えば女の子に対する免疫がまるでなかった痩せぎすの容姿フツメンアニオタが僕だ。
これでも自身の今迄の性格や容姿を反省し、インターネット参考に身嗜みを整えたり、伸ばし放題だった髪の毛もちゃんとオサレな理容室で注文し切り揃えて貰った……当初は我ながら惚れ惚れするそれなりの見た目だったが、帰宅してシャワーを浴びたらもう元の様なきちっとしたセットは出来なくなったがな。
そして満を持して……おっと、話が脱線してしまったな……そもそも彼女に告白をし玉砕した後の記憶は定かではない。人間ショックな事があると記憶が飛ぶというのも実体験出来た。数少ない友人の慰めも振り切り、多分にぼうとした頭でここまで来たのだろうな。
話を戻そう。そう、まさに! 降ってきたのだ!! 傷心の僕目掛けて、女の子が!!!
自由落下で!!!!!
一定を越えた重量の物が高所から落ちるとその重量に余り関係なく、時速200kmほどで落ち着くそうだ。ネットで偶々見ただけだから間違っているかもだが。
女の子の身長体重は……これまたネット知識だが僕と同じ15歳だと身長150~160cm、体重は50kgくらいかな? 綾乃ちゃんの様に小柄だと140cm、40kgくらいか。女の子はこれくらい小柄がいいよな、うん。
これを友達に言ったらお前は□リコンだなって言われたが……確かに否定はしない……しないが、いいじゃないかまだ15歳なんだし……また脱線しちゃったな。
普通に歩いてると小柄で可愛いのが僕の好みの女の子。だがそれが「ただ落ちてきた」のだ……40kgの重量が、時速200キロで。
容姿? 服装? そんなスピードなのに確認出来る訳ないだろう? 偶々真上の雲を見ていたから気付けたようなもので、河川敷で遊んでいたサッカー少年達の方を数秒見たりしただけで気付かなかっただろう。女の子だと認識出来ただけでも褒めて欲しい位だ。
……此処からはグロ耐性の無い人は聞かない方がいいかもしれない。
まあ冷静に考えて……まず生存は出来ないのは解るだろう? 頭に当たったら問答無用、肩とかに当たったとしても若しかしたら腕が千切れ飛んでるかもしれない。
僕の脳味噌は大量の血痕と共に地面にぶちまけられ、身体はくの字処かその字やぬの字の様に圧し潰され、内臓は爆発飛散し、骨は束になった乾燥パスタを思い切りへし折った様に割れ曲がり、僕の形は到底人間の形をしていないだろう……
今、目の前で見ているけどな。
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