第16話 デマが流れてる
◇ ◇ ◇ ◇
ぱちぱちと木が燃えている。既に日は落ち誰もが眠りにつく時間。
しかし闇夜に交わる男女の姿があった。
どうしようもなく闇に染まってしまった少女はただただ貪られているだけなのだと気づかない。
闇からもたらされる甘美な囁き、快楽、そして下命。
全てが少女を幸福へと連れて行ってくれた。
悪意を注がれ闇に堕ちた哀れな玩具の姿がそこにはあった。
◇ ◇ ◇ ◇
夜番の交代時、エリーに苦笑された。
途中で疲れたのか、ミラちゃんが寝てしまったのでちょうど抱き抱えてテントの中に運んでいたからだ。
そして朝になり、朝食を食べると昨日と同じように馬車は走り出す。
担当場所は代わっていないので今日も道中は性処理をさせる。
と言ってもこちらが一方的に触ったりしているだけなのでむしろ奉仕している側かもしれないな。
もうすぐ町に着くと言われ昨日のように頑張る姿は滑稽でしかない。
「私はこのまま商業ギルドに向かいますので皆さんは明日の出店での手伝いまでご自由にされて下さい。それでは」
依頼主はそう言って商業ギルドへ明日一日路上販売が出来るように申請しに行った。
「じゃあ僕たちは道具でも買いに行こうか。ミラちゃんはすぐに家に帰りたいかも知れないけど先に案内をお願いしてもいいかな?」
「お任せください。家は少し離れているのでどの道今日は帰るつもりありません。ですので気にされなくて大丈夫です」
近くても帰るつもりはないと顔に書いてあるが流そう。
早速僕たちは冒険者用の道具屋へ向かう。
やはりと言うべきか、ダンジョン用の物が少ないな。
この町の近くにはダンジョンがないので仕方ないか。
僕が道具を見てまわっているとミラちゃんも大人しくついてまわる。まあこれくらいは構わないので好きにさせておこう。
そしてエリーは個人のお金で録画出来る魔石を幾つか買っていた。きっとあの魔石に僕のハメ撮りが記録されるのだろう。本当に好きだな。
ロープなどを幾つか買い、一度冒険者ギルドへ行くことにした。
依頼などを見ればこの辺の事がある程度分かるので意外と大切なことだ。
「え、ミラじゃない。カーター達と町を出たんじゃなかったの?」
「デイジー、うん、その通りだったんだけど、二人が捕まったんだよね。だから戻ってきたの」
冒険者ギルドに入るとミラちゃんと同じくらいの年齢の子が話しかけてきた。
知り合いか友人と言ったところかな。
邪魔するのもなんなので僕とエリーは依頼表を物色する。
「そこの綺麗なお姉さん、俺たちのパーティに入らないか? いや入れてやるよ」
「やった、すげえ美人じゃん、俺たちこれでもCランクパーティだから安心しなよ」
久しぶりに見た気がする。エリーはこの辺では割と有名なはずなんだけどな。ブラックウルフとダークアウルを連れている美人なんてエリーしかいないだろうに、本当にCランクかと疑ってしまう。
「仮に貴様らがSランクパーティだとしても断る。邪魔だから話しかけるな」
「はあ? ちょっとツラがいいだけで調子に乗ってんのか? お前は黙って俺らの仲間になるんだよ!」
「話しかけるなと言っただろ。その辺の子供の方が話が通じるぞ」
エリーも気が長くなったな。前なら既に殴ってた。
しかしエリーの従魔二匹は我関せずといった感じなのはどうなんだ? 主人を守るそぶりすらしないのか?
「ほ、ホープさん、エリーさんが囲まれてますが大丈夫なんですか? 助けなくていいのですか?」
「へーきへーき、Cランクパーティくらいならエリーの敵じゃないから心配するだけ無駄だよ」
あ、エリーの腕を掴もうとした男が顔面に肘鉄された。
あーあ、そのせいで残りのメンバーが襲いかかってるよ。そして返り討ちだ。男4人で情けない奴らだ。
「言っておくが私はBランクだ。Cランクのくせにイキるな」
「Bランクでテイマー……まさか【
男たちはエリーの正体に気づくと慌ててギルドから去っていった。まさに脱兎の如くだ。
「ほら平気だったでしょ」
「そ、そうですね。テイマーの方ってあまり戦えるイメージがなかったので驚きました」
そう言えば普通のテイマーはあまり自分で戦わないんだよね。でも強い魔物を従えるなら自身を鍛えないといけない。
だからか、やはり高ランクのテイマーはエリーのように従魔がいなくても戦える者が多い。
「ホープ、そっちは何か気になる依頼はあったか?」
今の流れで普通に話しかけないでくれ。ギルド内の視線が集まるじゃないか。
「あれが【
「金でランクを買ったって噂のデバッファーか」
「バカ、滅多なことを言うな! ギルド追放どころか殺されるぞ!」
「ギルマス怖えからな、殺されるのは勘弁だぜ」
「お前何も知らないのか、昔あいつはBランクのしかもジョブが騎士三人を同時に相手取って、正面から魔法やスキルを使わずに殺した事があるんだよ!」
無いよ! どう言う噂が流れてるんだよ! 当時の僕が魔法やスキルを使わずにBランクの騎士三人を相手に正面から殺せるわけないだろ!
「ホープ、お前騎士を魔法も使わずに殺した事があったなんて初耳だぞ」
「あるわけないだろ、普通に考えてこっちが殺されるよ。なんでそんなデマが流れてるのか不思議でならないよ」
「はは、間違いない」
まったく噂とは勝手な物だな。魔法を使って殺した事はあるけども、どこで話がズレたんだ?
「特に気になる依頼も無いからそろそろ宿に行こうか」
「そうするか」
宿はこう言う依頼の時は依頼主が取ってくれている。たまにランクの低い安宿に泊まる事もあるが、商人が安宿に泊まる事は滅多にない。
依頼主と同じ宿、ただしこちらの方が少しランクが下の部屋と言うのが基本だ。
「ミラちゃん、僕たちは先に宿に戻ってるね」
「あ、私も戻ります!」
「無理に僕たちに合わせずお友達と話しててもいいんだよ?」
「無理じゃないですよ。それにデイジーたちとは今後いくらでも話せるので気にしないでください」
極力僕から離れたく無いって感じだなぁ。まあ明日の手伝いが終わればミラちゃんと接する必要も無くなるしいいか。
デイジーちゃんとその仲間と思われるパーティメンバーがとても残念そうにしてるな。特に男の子が顕著だ。
犯罪者二人の方がカーストが上だったぽいから、そいつらがいなくなって諦めてた高嶺の花にもしかしたら手が届くかもって感じで期待していたのかもしれないな。
その僕に向ける男子たちの目はいいぞ。もしかしたら手を出されているかも知れない、でもそんな関係ではないと信じつつも半分諦めた表情。
はたまた、この後エリーを含めて三人でするんじゃないかと妄想を膨らませてそうだ。
実際は手を出しまくってて近いうちに捨てる予定だ。その後なら好きにするといいさ。
というかデイジーちゃんもミラちゃんほどでは無いが、それでも十分だと思うぞ。平均的な女性冒険者より可愛らしい顔をしている。
勝手にハードルを上げすぎて身近にいる可愛い花を見逃しているな。
宿に戻り明日の打ち合わせを三人だけで少しする。
「基本的に僕たちは商品が盗まれないように警戒したりガラの悪い客から依頼主を守る事になる。ガラの悪い客は僕かエリーが対応するからミラちゃんは少しだけ離れた所から商品が盗まれたりしないように監視をしてて欲しい」
「離れたところから監視ですか?」
「うん、近くにいると全体を見るのが難しいからね。お願い出来るかい?」
「分かりました、やってみます」
「エリーもいいかい?」
「問題ない」
これくらいでいいか、後は明日現場でもう一度おさらいすれば問題ないだろう。
夕食まで時間もあるし一度部屋でシャワーでも浴びるか。と思っていたら頬を染め、期待した目で見るミラちゃんがいた。
仕方ないので一緒にシャワーを浴びる事にする。
「明日で最後だね」
「……はい」
「僕も寂しいけど、ううん、まだ時間はあるからミラにたくさん僕を刻みつけるよ。忘れられないくらいに。いいかい?」
「はい、一生忘れられないくらい私にホープさんを刻んで下さい!」
お互いに体を洗い合い、具合を確かめ一度中に刻んでやると夕食に丁度良い時間になったので一緒に食堂へ行き、皆で食事をとることにした。
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