174日目 異世界-9

ガッシャン!!!!!!!


「アハハ!! アハハハァ!!」


身体が軽い。

まるで羽がついたようだ。


「んぎ?」


「ほらよ!!」


ズバババ!!


俺は目の前の人面を輪切りにする。


「「「うおぉぉぉおおぉぉ!!!」」」


騎士団の奴らが歓声を上げる。

うるせぇ野郎どもだ。


「狭間様ぁ!! お見事でし……」


ドガッ!!


俺は駆け寄ってくるトロゲンを蹴り飛ばす。


「がはっ!!」


バゴーン!!


トロゲンは騎士団の方へ吹っ飛び、騎士団の奴らも吹っ飛ぶ。

まるでボーリングだ。


「ひゃはは!! ストライクだぜ!!」


「は、狭間様!?」

異常を察知したローシュが盾を構える。


「おぉ、いいねお前。

 対応が早いってか?」

「一体どうなされたのです!?」


「騎士団ご自慢の大盾と俺のパンチ……どっちがつえぇかな!!」

ザッ!!

俺はローシュの目の前に移動し、構えた大盾に拳を振り下ろす。


メキッ!!


バリバリ!!


大盾は音を立てて粉々に砕け散る。


「かはっ!!」

ローシュが血反吐を吐き、うなだれる。

なんとか意識を保っているようだ。


「あーあ。つまんねぇな。さっきの人面が1番の大物か?」

「「「………………」」」

騎士団の奴らは唖然としている。


「おい、ダメだろ。俺は敵だぞ? さっきの玄武陣形ってやつ、やってみろよ」

「な、なぜ……」

トロゲンも俺の蹴りをくらって意識があるようだ。

腐っても聖騎士団長だな。


「なんでって殺したいからだろ」


ん?

だれか近づいてくるな……

速い……


「ローシュ!!」

ほぉ……

何者かがローシュに近づき、魔石を使って回復している。


「うぉい!!」

ブンッ!!


俺はそいつの背中に剣を振り下ろす。


スカッ!!

ズドーン!!

剣はかわされ、地面に大きな亀裂が入る。


「団長さん、ローシュを頼んだ!!ってケンちゃん!!」

「ヒャハハ!! アンティか!! こいつぁ大物だ!!」

俺の剣をかわすわけだ。

こいつは下手したらタイラなみの獲物だ。


「【狂戦士】か……」

「んぁ!? お前!! 【狂戦士】知ってんのか?」


「あぁ……全員【転移】魔石で逃げろ!! 殺されるぞ!!」

アンティが騎士団たちに言う。

「ま、雑魚は逃げてもいいけど、お前は逃さねぇよ!!」

俺は再びアンティに斬撃をあびせる。


「くっ!!」

ガキンッ!!

「ほぉ……」

さすがはアンティだ。

今の俺の斬撃を短剣で受け止めている。


「おらおらぁ、いくぞ!!」

少しずつ力を込める。


「チッ……だから【狂戦士】は嫌なんだよ」

「なっ!!」

アンティが消える。

クソ!!

透明化のスキルか!!


「………………(【狂戦士】とまともに戦ってられるかよ)」

「クソが!!」

ズバババ!!!

俺はその場から全方位を斬りまくる。


斬撃の風圧により、あたりに砂埃と風が舞い上がる。


そこだ!!

「おらぁ!!」

透明化していても、いなくなるわけじゃねぇからな。

大気の乱れでアンティの位置を特定する。


「マジかよ!!」

ガキンッ!!


「正気に戻れ!!(って【狂戦士】に言っても無駄なんだよな)」

「く……」

頭を抱える。

まずい。

このままでは、騎士団もアンティさんも手にかけてしまう。


「え? あれ? ケンちゃん?」

「はぁ……はぁ……あ、頭がいてぇ……」


「マジか!! 理性があるのか!?」

「はぁ……はぁ……こ……殺す……」


「頑張れケンちゃん!! 心優しいケンちゃんだろ?」

「はぁ……はぁ……」

ギチギチと頭のネジを回す。


ガチャッ!!

僕はジョブを【大司祭】に戻す。


「はぁ……はぁ……た、助かりました」

「おぉ!! 戻った!! すっげぇ!!」


「はぁ……はぁ……」

「マジでビビったわ」

しかし、身体への負担が半端ではない。

声を出すのもかろうじてだ。


「あのさあのさ、【狂戦士】の間って何考えてんの?」

「………………」

この人、マジで何者なんだよ。

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