167日目 異世界 前編-1
ドサァ……
「こ、これは……」
「全部【エリアヒール】です」
僕は騎士団の宿舎に来ている。
トロゲンさんに【エリアヒール】の魔石を見せたところだ。
「全て【エリアヒール】ですか?」
「はい。まだ作成中ですので、これからどんどん増える予定です」
本来魔石は貴重で高価なものだ。
しかし、ここ中央東には、使い物にならない小さな魔石が大量にあった。
それを日本の地下、魔石工場の【魔導合成魔法陣】で合成しまくった。
大量にあった空の魔石に、日本で【エリアヒール】をひたすら入れたのだ。
「確かに、これなら外界への遠征が大きく進むでしょう」
「でも僕の【魔導命令】はまだスキルレベルが低いんです。
【エリアヒール】の威力は半分程度になってしまうと思います」
第六戦線の罠修行で、器用のステータスは大幅に鍛えることができた。
しかし、【錬金術師】のジョブレベル、【魔導命令】のスキルレベルが低いのだ。
習得当初よりは良くはなっているが、それでも半分程度は減衰してしまう。
「それでも、十分ですな。
一度【エリアヒール】の効力を試してみてもよろしいでしょうか?」
「はい。もちろん」
確かに、ある程度【エリアヒール】の回復力をみておいたほうがいいかもしれない。
「では、こちらに」
僕はトロゲンさんの後について行く。
ドドド……
徐々に地響きのような音が聞こえてくる。
ガギン!!
ガギン!!
金属音も聞こえてきた。
「訓練施設ですか?」
「えぇ。外界へ出られる【聖騎士】はおよそ100名です。
そして、その実力がないものが1000名程度。
さらに、【聖騎士見習い】については、2000名程度いるのです」
「そ、それはすごい人数ですね」
おそらくだが、【聖騎士見習い】でもそれなりに実力はあるのだろう。
冒険者パーティでもみなかったジョブだ。
「そして、【聖騎士見習い】はこちらで訓練をしています」
ガギン!!
ガギン!!
ドドド……
さらに激しい音が聞こえてくる。
「魔物との訓練ではないのですか?」
宿舎で訓練しているということは、対人だろう。
しかし、訓練であれば魔物を倒した方がジョブ経験値や素材が手に入る。
「はい。【聖騎士見習い】の多くは、戦線などで魔物の討伐による訓練をおこなっております。
しかし、カウンタースキルの習得がまだのものは対人で攻撃を受け、スキル習得を目指すのです」
「なるほど」
確かに、特定のスキルは魔物との戦いよりも、対人の方が習得効率が良い。
僕もクラールの矢を受けて【光耐性】などのスキルを習得した。
「ですから、常に回復が必要になるわけです」
「こちらです」
ガギン!!
ガギン!!
ドドド……
「「うおぉぉ!!」」
広い平地に所狭しと巨漢がいる。
大盾を持っているが、それ以外は比較的軽装だ。
鎧は装備していない。
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