第20話 ジョーバ

ここには、現役を引退した馬がいる。ここで育った馬だ。現役の時から嫌いな部類に属していたが、レースのときは応援した。たまたま見たレースでは勝っていた。そしてしばらくして引退。そのまま牧場に帰って来てそのまま乗馬用の馬になった。だから、特別訓練してる訳ではないので、素人は乗れる馬ではない。馬には乗れるが現役の馬に乗せるのは不安という人用だ。あとちょっとした誘導馬。見てる限りでは、乗ってる人をなめてる感じはする。止まったり、乗り手の行きたい方向にいかなかったり…乗り手もこの馬を思うままにできないと、現役の馬には乗せてもらえないだろう。

さて、馬房ではどうかというと、人間に対して愛想は良くない。噛んでくることはないがちょっかい出すと怒る。水やりの時、向こう向いて草を食べているが、とっとといなくなれモードが全開で、片足を軽く上げて、いつでも蹴れますよと言わんばかりに脚を動かしている。あと、何かもらえるのかと振りかえったら水やりだったため、すぐそっぽを向く。可愛くない!

ただ、ここ最近彼の前髪がパッツンになっていて可愛い。撫でてやると迷惑がられる。そして、雨上がりの放牧地(パドック)でゴロゴロしたのであろう、泥だらけになっていた。

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