第17話 夏を告げる馬 エラハリー

白鳥が鳴きながら空を飛んでると春が来ると感じ、ツバメが飛んで来るともうすぐ夏だと感じ、エラハリーが戻ってくると、夏が本番だと感じる。

彼は毎年、北海道シリーズが始まると牧場に戻ってくる。ここで育ち旅立ったが、毎年帰ってくる。今いる馬たちからしてみたら、お兄さんというよりおじさんだ。

彼は、びっくりするほど下顎というか、人間で言うエラがはっている。来るたびに、大きくなってる気がする。そして馬っ気が強い。彼の馬房はたまたま牝馬が通るところにある。ドアは閉まっているが、牝馬が通るたびにブーブー言っているので、隣の厩舎に移動になった。別の意味でさようなら…また逢う日まで。何か用がない限り隣の厩舎には行くことがない。

と、言いながら用事で隣の厩舎に行った時、彼を見に行ったら、開かずの馬房になっていた。ここの牧場は昼間は馬房のドアは開けっ放しだ。おとこ馬しかいない、牝馬は通らない、それなのに、ドアが閉められている。おとこでもおんなでも馬が通るとうるさいんだなぁ。そういえば、ウォーキングマシーンでも、ひとり騒いでいた。まぁ元気で何より。

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