ジュリ

第四十二話 甘い

今年はあなたのいないバレンタイン。

毎年意識したりしなかっただったけどあなたと一緒になってから意識的に毎年作るように。

でも不器用だから。

失敗したチョコを笑いながら食べたあなたの笑顔もだし、ある年は口移しで「今年はめっちゃ甘い」って貰って食べてそのままエッチした時が忘れられないから。

※※※


「シバ、甘いもの苦手だったのにねー」

李仁が店で出すチョコケーキを味見する。

そうだったの、シバ……甘いの苦手なのに食べてくれてたのね。

私のクソまずいチョコとかも食べてくれてたのも……ねぇ。


あっちでチョコ食べてるのかな。


……。


「バレンタインだけどシバにチョコ送った?」

「あ、そうかこないだの仕送りの時に送れば良かったかなぁ」

「そうよ、ジュリと会わないとシバ……またどっか行きそうよ」

……。


「冗談よ。でもジュリも甘いわよ。もっとグイグイいかないとさ」

……って言われても。


そんなこと言われて二口目のチョコケーキは少し甘苦かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る