第53話
ラフが地球を訪れていた2年半の間に、連邦評議会議員選挙があった。
地球連邦200臆人の声を代表する評議員は、4年に1度、半数ずつが直接選挙によって選出される。
学生のラフは興味深く観察した。
当時も
〈
それに伴い〝星の海〟を渡って〝
発展途上にある
だが、この時期のこの潮流が〝フェルタに住まう者〟に「格差」の存在をあらためて意識させることとなる――。
そうして次なる〝現実〟が、更に彼らを憤慨させるのだ。
一度フェルタに籍を移してしまえば、事実上、地球圏に籍を戻すことが出来ないという現実。地球からフェルタへの
そんな彼らは、最後には〝自分たちに科せられている理不尽〟に気付かされ、絶望する。
連邦の所管する行政に陳情する窓口がないことの理不尽。
その本質が〝連邦行政府・立法府に自らの代表を送り込めない〟ことという理不尽。フェルタの民は地球連邦に対し、自らの代表を選び、送り出すことを認められていなかった。
導き出されるのは〝〈フェルタ〉にある限り何も変えることが出来ない〟という現実。
――…ここに至り彼らは、自分たちが〝棄民〟であることを思い知ったのだった。
こういったことへの不満から〝フェルタ人の置かれた構造的不平等〟が顕在化していったのは、ある意味、皮肉であった。
フェルタ生まれの〝
そういった不満は2680年代からすでに顕在化しており、〝新しい世代〟の移住者を中心に、連邦市民として〝不平等な権利の是正〟のためには〝闘争〟も辞さないという〈権利闘争派〉が各地で台頭している。
ラフが地球に留学する
何れにせよ、地球連邦政府によるフェルタ移住政策は何らの善後策を講ずることなく、粛々と進められており、その是非を問う〝
フェルタで生まれた〝
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