第2話 待たせている男

新聞越しに女が見える。


細い肩。

だけど、身体は柔らかだ。


そんな。

ぬるい心地良さに。


もう。

何年、浸ったのだろうか。


チクチクと責める罪悪感と。

臆病な狡猾さで。


男は誤魔化し続けていた。


女を。

そして、自分を。


「コーヒーのお代わりは?」

透き通る声で聞く、彼女。


「ああ・・たのむ・・・」

ポツリと返す言葉は。


新聞紙の陰で。

あいまいに響いていくのだった。

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