インターネットアーカイブで小説家になろうの歴代ランキング見たら楽しすぎた
コザクラ
2006年 〜時は大ケータイ小説時代!〜
こんにちは。コザクラです。
このエッセイは「小説家になろう」の歴代ランキングを見て作者が面白がる怪文書です。
なんでこんなことを? だって面白そうじゃん。
面白いと思ったことが本当に面白いかどうかは見てみないとわからない。
最古のランキングがチーレム無双の異世界転生祭りだったらどうする?
https://web.archive.org
笑っちゃうよね!
ということでこの「Wayback Machine」なる(他人様の黒歴史を勝手に公開してるドスケベ)非営利サイトを使い、小説家になろうちゃんのあんなランキングややこんなランキングを晒しちゃうぞ。
【調査形式】
1.尺の都合につき公開範囲は総合ランキングトップ10とする。また当時の資料として二次創作もこれに含める。
2.初期はアーカイブが残っていないため、あまり期間が空いていない場合を除き、年度ごとの最古の順に紹介する。記録の増える年からは上半期の6月終わりと下半期の12月終わりを集計する。
3.作品に伴う評価も公開する。ただし初期は今と比べて指標が少ないため、ポイントのみの掲載が続く。
4.ランキング全体のジャンルも集計する。ジャンルの盛衰は時代を表す貴重な資料である。
さあ、これが最古のなろうランキングだッ! 生で拝んでオドロキやがれッ!
〜〜〜
2006年11月30日
【1位】地球最後の24時間(貞次シュウ先生)
ジャンル:その他
ポイント:231pt
【2位】託されたモノ(朧月先生)
ジャンル:ファンフィクション[名探偵コナン]
ポイント:231pt
【3位】春夢槿花(貴水 玲先生)
ジャンル:ファンタジー
ポイント:229pt
【4位】〜夏の日の終わりに〜(貞次シュウ先生)
ジャンル:恋愛
ポイント:229pt
【5位】カウンドダウン(yoshima先生)
ジャンル:ファンフィクション[名探偵コナン]
ポイント:229pt
【6位】一文字の愛情(宮森琥珀先生)
ジャンル:その他
ポイント:228pt
【7位】遠enrai雷(アオキモチヒロ先生)
ジャンル:その他
ポイント:226pt
【8位】ハンド・オブ・ブラッド
ジャンル:ファンタジー
ポイント:226pt
【9位】死神といっしょ!(是音先生)
ジャンル:コメディー
ポイント:225pt
【10位】僕の家族のコッコさん つヴぁいッ!(田山歴史先生)
ジャンル:コメディー
ポイント:225pt
〜〜〜
タイトル短っ! ポイント少なっ! あらすじ短っ!
投稿数もやばい。同時期のアーカイブ(2006年11月31日)から確認できる全掲載作品は9373作品。
うち連載が4878、短編が4495。登録者数に至っては7660人。全部5桁いってない。少なすぎ。すげー時代だ。
おかげでポイントの最大値はとても低い。トップですら231だぜ? 今トップ10入りするならを取るとしたら最低4万弱は必要だ。
最後にあらすじが短いぞ!「〇〇で〇〇なお話」と一言二言載せるだけのあらすじが珍しくない。レビューかよ。味気なさすぎ。ボーボボでももうちょいまともに紹介するぞ。
しかし読者にはそんなこと関係なし。好みのジャンルから読み漁ってはポイント爆撃。飢えすぎである。
さてジャンル別をまとめてみよう。トップ50の内訳はこの通りだ!
〜〜〜
【1位】
・ファンフィクション[名探偵コナン]……11
【2位】
・その他……9
【3位】
・ファンタジー……8
【4位】
・コメディー……7
【5位】
・恋愛……5
【6位】
・ホラー……3
・文学:……3
・SF……3
【7位】
・推理……1
〜〜〜
ファンフィクションがとにかく多い。コナンしかない!
2位と5位もそれ。ランキング全体で11作。真実何個あるねん工藤。
ネット小説の源流は二次創作からとはよく聞く話だけどこのランキングを見る辺りマジっぽい。
次いではその他が強い。作品のあらすじを個別に確認するとローファンタジー、コメディー、SF、推理、サスペンスなどなど多種多様。
該当するジャンルでない場合の臨時的な集積所だったと思う。括れないものはとりあえずその他に入れておけ感がすごい。もうノリで入れてるだろ。
3位にはファンタジー。ただしこの時代はハイファンタジー、ローファンタジーの区別はなし。
そのせいか両者入り乱れる混沌……と思いきや実はローファンが多数を占め、ハイファンは希少という結果だった。独自の世界観って把握難しいもんね。
一応魔法を扱う作品は確認できたけど本当にそれだけ。冴えない主人公が運ちゃんアタックで事故って死ぬという(よく考えたらボーボボじみた)展開を基本とするのが異世界転生だけどもそれを満たすにはこのワードではあまりにも足りない。
そして意外と多かったコメディー。その他にこの雰囲気の作品がいくつかあるところを見ると実際はもっと多いと見るべきか。
あらすじを見るに「この時代」のラノベの雰囲気がすごい。死神ものとか流行ってたらしいね。というわけで同時期のラノベの影響は無視できないところ。ちなみに私が読んだことあるのはキノの旅だけだ!
今はトップ独走の恋愛もこの頃はまだまだ細いジャンル。コメディもののあらすじが男性向けなところを考えると女性層は少なそう。
以下にホラー、文学、推理と続く。今このジャンルを総合ランキングで見たら拍手喝采ですよ!
そんなこんなでいきなり時代の違いを見せつけられた2006年だ!
ハァ……ハァ……! すごいね! 何がすごいの? いや全部だろ!
というわけでまとめます。
【まとめ】
2006年は比較的ジャンルレスな印象だが、頭1つ抜けているのは二次創作。
元々ネット小説は二次創作畑から生まれたという言説があり、今回の集計によってそれの信憑性が高まった。
ジャンルではコナンが独占。当時の人気ぶりが窺える。
オリジナルではその他、ファンタジー、コメディー、恋愛がランクイン。
ファンタジーではローファンタジーとハイファンタジーの区別はないが、この時代はローが基本の様子。いわゆるナーロッパの時代はまだ遠い。
ここに真っ当な文学的気質を持つ作品群としてホラー、推理、SFなどが殴り込みをかける混沌とした環境。
ランキング攻略、書籍化目的とは程遠く、趣味や物好きの集積が結果として現れている。真の意味で「小説家になろう」を実現できていた時代だろう。
また引き寄せ目的のタイトル傾向が全くない。
読み手の「欲しい!」という需要に対して書き手がとにかく足りないため、タイトルでの引き寄せをせずとも書けば読まれた可能性が高い。
今よりさらにニッチな趣味というところもあり「この作品を逃せば他には自分好みの傾向の作品はない」というある種の読み手の貧困もあっただろう。
タイムスリップしてここにコッテコテの長文タイトルで主人公最強&成り上がり&チーレム&ざまぁ展開盛りのテキーラをぶち込んだらどうなっただろうという妄想が膨らむ。
【おまけ】
この頃のUIクッソだるい。文字だらけ。推敲なしに書いた卒論みたい。すげー読みづらい。小説投稿サイトだからってそこまで文字だらけにしなくてもいいじゃん。
あとランキングの場所もわかりづらい。文字だらけのページをスクロールして「読者向け」という欄に目をやるとやっとさ見つかる「小説ランキング」。
最初わかんなすぎて2006年時点だと「ランキングってなかったの?」って勘違いするほどわかりづらい。
ただしいいところもある。この文字詰めのせいか全ての欄がめっちゃ広い。作者名も先生付きで表示してくれる。気分は夏目漱石。
新規連載の生命線と言える新着欄に至ってはなんと33作も表示してくれる。今は上げても3分くらいで下に追いやられるけど当時は30分くらい張り付いてたんじゃないかな。
なろうさんこの欄だけは広くしてくれません?
今回はここまで! こんな感じで記事を書いていきます。
次回は2007年。デュエマは極神編! デュエルスタンバイ!
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