「役立たず」とパーティを追放された俺のスキルは《ダメージ吸収》……ではなくて、 あらゆるものを消去できる《存在消去》なんだが? あ、先に言っておく。パーティーには戻らんぞ?
第4話 追放されたのをバカにされたんだが?
第4話 追放されたのをバカにされたんだが?
食事を済ませた俺とアモネは冒険者ギルドへ向かった。
ギルドに入ると、カウンターの奥にいる女性と目が合う。
俺はアモネを連れて
「あ、デリータくん。ずいぶんと早い
「活動休止した覚えはありませんよ、ウィズレットさん。ところでこの子が冒険者登録をしたいそうです」
「あら、そうなの?」
俺の紹介にウィズレットさんはアモネへ視線を向け、決まり文句を口にする――
「冒険者ギルドへようこそ。私はローヴェニカ支部の受付カウンター担当ウィズレットで」
「はーい! あたしぃ、今日からここに
――が、見事に新人さんに仕事を奪われてしまったようだ。肩にタックルをされたウィズレットさんがよろめきながらカウンターの端っこに追いやられる。
どうやら受付嬢にも
なんて声をかけたらいいかもわからないので、とりあえず見たままの事実を言っておこう。
「……ウィズレットさん、鮮やかな仕事の奪われようでしたね」
「放っておいて。新人教育の
その割には目が怖いんだが。めちゃくちゃ。
するとウィズレットさんは目に宿る鋭さを顔面全体に広げて俺に言ってきた。
「……ところでデリータくん? 彼女とはどういう関係?」
「かかか顔が怖いですって! そこで偶然会って、冒険者になりたいって言ってたから!」
「ふーん……? ま、あなたの傷が癒えるのならそれでいいわ」
……あれ? 思いのほか言葉は優しい……?
予想もしていなかった優しいセリフにぽかんとしていると、彼女はちょっと
「顔には出さないように頑張ってるみたいだけど、私の目は
と、何やらウィズレットさんがごにょごにょ言い終える前。
「え、え、なんですか……?」
明らかに
俺はすぐにそちらへ意識を向ける。
どうやらアモネが数人の冒険者たちに絡まれているようだった。
「ひくっ……うぇぇい、お嬢さん冒険者になるのかいぃ?」
「そ、そうですけど……」
「なら丁度いい! 俺たちベテランなんだよぉ……ひくっ。優しい紳士な俺たちが新人教育してやるからぁ……ぐへへ、色々教えてやるよ……ぉ!」
うわー、まじで気持ち悪いおっさんだ。アルコールでとろけた目はアモネの胸に
「ウィズレットさん、あれ止めたほうが」
「ギルドは冒険者同士の
「あーあーそうでしたね」
まったく身勝手な人たちだ――と思いたいが、実はちゃんと理由があるんだよな、このルールには。
ともかく俺はアモネと
「おいアンタら。彼女嫌がってるだろ。手を放せ」
「なんだと偉そうにィ……っておい、お前もしかして⁉」
酔っ払いの一人が俺を指さした。続けて仲間同士で顔を見合わせる。
やがて。
「ディオスのパーティ追放された野郎じゃねぇかーっ!」
爆発するような笑いが眼前で巻き起こった。
酔っ払いたちは体をよじりながら俺に
まー仕方ないよな。追放された側はどうしてもバカにされてしまう傾向がある。だが……
「そんな無能で役立たずなチミが、俺たちBランクのベテランに
――それが頭に来るか来ないかは全く話が別だ。
俺は
「え、アンタたちBランクなの? へぇー、Bランクのくせにギルドで酒に
言ってる間にもベテランの顔には怒りが
「テメェ殺す!」
次の瞬間、全員がまとめて殴りかかってきた。
ちょっとは手加減しようと思ったが……こいつらには一泡吹かせておいた方が良さそうだ。
「……誰が誰を殺すって?」
消去――心の内で唱えた瞬間、俺とベテランの間に広がる床がきれいに消え去った。
瞬間、足場を失った男たちは、情けない悲鳴とともに俺の視界からフェードアウトする。
床下に落下した男たちは、その衝撃と痛みにひどく悶えているようだった。
俺は穴底を覗きこみながら、
「このまま閉じ込めてもいいんだぞー」
「わ、悪かった……謝るから、ここからあげてくれぇ!」
「どうしよーかなー? でも追放された俺なんかには人を持ち上げる力なんてないしなー」
「た、頼むよぉ! 許してくれぇえ……」
いやまぁ、俺にはもうどうしようも出来ないんだけどな、本当に。うん。
「デリータさんっ! ありがとうございます……怖かったです……」
アモネが背中から抱き着いてくる。やれやれ、彼女のこれからが
さすがに床をくりぬかれては困るのか、ギルド職員や他の冒険者らが大急ぎでベテランたちを引き上げようと
「君たち、何をやっているんだ!」
ふいに俺の耳を叩く
背に刺さる幅の広い
ローヴェニカ支部で一番の有名人が、
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