第41話 6位
一つ目と二つ目は単純なステータスの測定だったが、次は実技である。物理戦闘技術と魔法技術の二タイプあり、どちらかだけ、もしくは両方の測定を受けるか自分で選べる形だ。
因みに、両方けた場合の評価はより好成績だっほうが基準になり、もう片方は参考程度となる様だった。まあ普通は戦いながらだと大した魔法が使えないので、合算して考えないのは妥当だろう。
――場所を変え、広い運動場の様な所で試験は行われる。戦闘教官一人が受験性の相手を受け持ち、それを審査員三人が査定して点数を出す感じだ。
「無駄に長くなるな」
この組では大半の人間が両方を希望していた。まあ参考程度でも、足しになるかも知れないなら受けるのは当然の判断だ。しかもダメダメだったとしても、マイナス要素にならないなら猶更である。
とは言え、大半の人間が受ける意味がないのだから待たされる身としては溜まった物ではない。そこそこ魔力はあるのに、魔法の方をすっぱり切り捨てたネイガンを見習ってほしい物だ。
「流石王女様です」
「素晴らしかったです」
「ありがとう。皆」
エイナスの測定が終わり、戻って来た彼女にネイガン達家臣団が労いの言葉をかける。流石と言われている事からも分る通り、審査員の出した点数はネイガンを抜いてこの組では現在一番となっていた。
もちろん点数のメインは魔法だ。戦闘技術は大した事なかったが、魔法に関しては、俺から見てもそこそこいい線行っているとは思う。とは言え、だ。それでもこいつが魔王戦で役に立つビジュアルは、微塵も浮かんでこないが。
あ、そうそう。ザケンの評価はネイガンより下だ。デカい口を叩いていた割にエイナス以下なんだから救えない。
「さて、次は俺の番だな」
やっと順番が回って来た。自分の名と割り振られた番号を告げ、よろしくお願いしますと試験官に一礼する。
「オーラと魔力で、この組の最高点を叩き出しているそうだね。その技術面がどれ程の物か確かめさせて貰おう」
戦闘教官は50代ほどの精悍な顔つきをした、かくがりに短く沿った顎のラインに髭を生やした見るからに体育会系の人物だ。
「ではまず戦闘技術からだ。かかって来い」
「では――」
教官から剣を受け取り、開始と同時に俺は突っ込んだ。最初っから全力全開。手加減は一切しない。何故なら――目の前の男は確実に俺より強いからだ。
「無駄のない、良い動きだ」
攻撃を仕掛けるが、その全てを掌で止められてしまう。単純なフィジカルもそうだが、教官はその戦闘技術も相当優れていた。相手になっていない。正直、試験の短い時間で崩すのは無理ゲーと言わざる得ない。
想像してたよりも強いな、この人。今の俺が命を燃やしても勝てそうにない。いやまあ、仮にそれで勝てる相手だったとしても絶対使わないけど……
この体の寿命が尽きても、地球の方から融通して貰えるので直ちに死ぬ様な事はない。だがそれをやると、本体側の寿命が縮んでしまうのだ。だからこの先、使うのは魔王との戦いのみと決めている。勝つ必要すらない試験で使うなど論外だ。
「そこまで!その若さでその強さ。それに戦いながら此方の動きに急速に対応する天才的なセンス。見事としか言いようがない」
結局制限時間いっぱい攻撃したが、一発も届く事はなかった。まあべた褒めしてくれているので、評価は最高てんだとは思うが。
「ふぅ……ありがとうございます」
「因みに……三組全部私が担当している。順位が気になるか?」
「まあ少しは……」
別に此処で聞かなくとも後でわかる事だが、教えてくれるのなら聞いておく。
「センスや成長性云々は抜きにした場合、現状の近接戦闘の強さは上から六番目ほどだな」
六番目か。オーラ判定の時は俺の上に六人いて七位だった訳だが……普通なら喜ぶべきところなのかもしれないが、魔王との戦いを考えると寧ろ嘆くべき結果と言えるだろう。
「では、次は魔法の方を見せて貰おうか」
「分かりました」
魔法のテストは先頭方式ではなく、少しはなれば場所に建つ教官に向かって攻撃魔法をひたすら撃つというシンプルな物だ。これで魔法の発動速度。使える魔法。狙いの精密度なんかを確認する。
「では――」
俺は開始線まで下がり、そして一瞬で発動させる。
「セイクリッドプリズン!」
大司教アルダースが魔王に使ったと言われる
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