神隠゛し。

物数奇ものずきやまかみ心中物しんじゅうものぎらいだろうから、縁結えんむすびのかみ言祝ことほぐよりも縁切えんきでらのろいごと物語ものがたられるのが御気おきりだろうから、茶飲ちゃの友達ともだちである御伽坊主おとぎぼうずのぼろっちい風呂敷ふろしきわす形見がたみ羽織はおらせて、おめかししたら、あたくし野辺のべおくりをされて、草葉くさばかげだろうから、と彼此あれこれごと浄瑠璃太夫じょうるりたゆう彼方此方あっちこっちにおっことして、おっんでしまいましたのは御愁傷様ごしゅうしょうさまでしょう、えば、めんこいぼうやは煎餅布団せんべいぶとんおおいひとか装束しょうぞくとかをかかえて、かみほとけもないのにいじらしい御願おねがいをおしゃぶりにするしたない未亡人みぼうじんとなりましてからは何時迄いつまでもねんね、何時迄いつまでもねんねしておりまして、変梃へんてこりんな御稲荷おいなりさんの御古おふる子守こもうたひとりぼっちではおどろおどろしくなってしまうも、何方どっち御祓箱おはらいばこかもれません、それだから、きつねにつままれているんです、あはは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る