頭が2つある人間(記入者 貴弘)

いた場所 公民館の前


いた時間 20:06


近所で見たことのある顔が、2つになって公民館の前に転がっていた。1つの首からむりやり生やされたような形になっていて、頭の重さに耐えきれず首が折れていた。


折れたところから緑色の体液が地面に広がっていた。着ていた白いシャツには、靴跡があった。誰かが踏み付けたのだ。


本当ならもっとくわしく死体を確認するべきだっただろう。なにか痕跡があったかもしれないのに。だが、俺にはその勇気がなかった。近くまで行く勇気が、なかった。


すでにこの街は狂っている。それが分かっていても、「義務」はこなさなくちゃならない。

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