今更付き合いたいと言っても、もう遅い 美夜視点

「もうすぐ出てくるかしら……?」


 美夜はダンジョンの入口で隠れていた。


「バカ湊のくせにバズってる……ウザッ」


 美夜は湊の配信を見ていた。


「みんなしてバカ湊を褒めて……再生回数30万回? 湊だけバズるなんて絶対許せない!」


 チッ、と美夜は舌打ちする。


「あたしのバズはあたしのもの、湊のバズはあたしのバズだから」


 自分から湊を振ったことを、美夜は忘れたわけではない。 

 だが——


「湊はあたしのこと【好き】だし、あたしは【かわいい】から、告れば絶対に【付き合える】」


 湊と【付き合ってやって】から、配信者デビューした後、【捨てる】つもりだった。


「やっと出てきたわ……はあ、ダルいけど、これも配信者デビューのため」


 ハイウエストのスカートに、白いブラウス。

 ブラウスのボタンは2個外しておく。

 これでブラがちょっとだけ、見える。


「童貞を殺す完璧な装備! 湊から告ってくるに違いないわ……!」


(あんな陰キャは【童貞に違いない!】)


「やっと出てきた……よし、今——」


 美夜が物陰から飛び出そうとした時だった。


「湊様ー!」

「うわあ!」


 チャンネル登録者数200万人の人気配信者、宝星ぴかりが湊に抱きついた。


「ぴ、ぴかりんが、湊に抱きついて……?」


 信じられない光景に、美夜は驚く。


「湊様ー! 寂しかったですううう!」

「むぐぐぐぐー!」


 湊を豊かな胸に沈めるぴかり。


「湊様、大好きです! もう今夜抱いてください♡」

「いやいやいや、抱くとか無理だからー!」


「あんなにぴかりんに愛されてるなんて……嘘でしょ? 嘘よ、絶対に嘘よ!」


 美夜に入り込む余地などない。

 すでに湊は、新しい一歩を踏み出したのだ。


「あり得ない……あたしの配信者デビューがあああ!」


 今更後悔しても、もう遅い。



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幼馴染に嘘告された上にSNSで晒された俺、暴漢に襲われた人気美少女ライバーを助ける。バスって美少女ライバーたちに重く愛される

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